写真:NHK「おむすび」より 朝ドラ「おむすび」にこんな場面がありました。 主人公の米田結が、福岡西高野球部の四ツ木翔也を神社の境内に呼び出す。「急に呼び出してごめん。ちょっと話したいことが。ウチ、四ツ木君のことが…」「ごめんなさい! 交際できません!」 結はがっかりして「ウチ、帰る」と言って歩き出した。「待ってくれ! おめが言いたいことはわかってる。それは俺もおんなじ気持ちだ。俺の . . . 本文を読む
写真:「おむすび」のギャルたち 9月の韓国出張の時、飛行機の中で「違国日記」という邦画を半分ほど観ました。今回の帰国便では、残りを観ることに。 両親を交通事故で亡くした中3の娘(朝・あさ)の成長物語だと思っていましたが、朝を引き取った叔母(槙生・まきお)と、亡くなった姉(実里・みのり、朝の母親)との確執も、この作品の主要なテーマになっていたようです。 性格の違う姉妹の絶交、母を心底嫌う叔母と暮らさ . . . 本文を読む
朝ドラ「おむすび」で、主人公の米田結が部活のあと、憧れの風見先輩と二人きりで話をしようとしていたとき、書道部の部長が入ってきて、「俺んちに、バリでかいスズメバチの巣があるっちゃけど、見に来ん?」 結は心のなかで「相変わらず部長、空気読めん」とつぶやく、という場面がありました。 このあとの番組、「あさイチ」で、MCの博多大吉は、「地域によっては床の間に飾ってるところもある」とコメントしていました。 . . . 本文を読む
写真:朝ドラ「おむすび」の一場面 新しい朝ドラ、「おむすび」の舞台は2004年の博多。 主人公、米田結の姉、あゆは「伝説のギャル」なんだそうです。 結の8歳上ということですから、1990年代後半にギャルとして活躍していたと思われます。 実は、私は1996年から2007年まで韓国に駐在していたので、90年代後半の日本の世相に疎い。 ギャル全盛のころは知りません。 ギャルという言葉を三省堂国語辞典で引 . . . 本文を読む
写真:ジャン=ジャック・ルソー「人は誰でも、人を殺してはいけないという良心を持っている」 では、人間は最初からそのような「良心」をもっていたのか。 文明化される前の人間について、哲学者たちはいろいろな想像をしてきました。 イギリスのホッブズは、「万人の万人に対する闘争」といって、絶えざる戦争状態にあったと考え、それを改善するために、社会ができ、法律ができたと考えた。 一方、フランスのルソーは、自然 . . . 本文を読む
「許容されている殺人」として、「正当防衛」に似たものに、「緊急避難」があります。 緊急避難は、たとえば「カルネアデスの板」によって説明されます。 一隻の船が難破し、乗組員は全員海に投げ出された。一人の男が命からがら、壊れた船の板切れにすがりついた。するとそこへもう一人、同じ板につかまろうとする者が現れた。しかし、二人がつかまれば板そのものが沈んでしまうと考えた男は、後から来た者を突き飛ばして水死さ . . . 本文を読む
朝ドラ「虎に翼」の最終週、私は韓国出張で観ることができませんでした。 帰国した木曜日の夜、録画しておいてもらった4回分をまとめて見ました。 虎子の新潟勤務時代に出会った謎の女子高生、美佐江のそっくりさん(美雪)は、やはり美佐江の娘でした。 そして、母親とまったく同じ質問をする。美雪「先生はどうしてだと思います? どうして人を殺しちゃいけないのか」寅子「奪われた命は元に戻せない。死んだ相手とは、言 . . . 本文を読む
写真:広島・平和記念公園内の韓国人原爆犠牲者慰霊碑(産経新聞) 朝ドラ「虎に翼」で、朝鮮半島出身の崔香淑は、長年隠していた出自を、娘の薫だけでなく、昔の大学の仲間たちにもカミングアウトし、今後、韓国系日本人の弁護士として活動をしていく決心をします。 彼女が支援に立ち上がったのは、広島・長崎で原爆被害に遭った植民地出身者たち。 広島・長崎で少なからぬ朝鮮半島出身者が被曝したことは、以前の記事で指摘し . . . 本文を読む
写真:病床の多岐川を囲む寅子、崔香淑、薫 朝ドラ「虎に翼」が9月末の放送終了に向けて、急展開しています。 寅子の学友の一人、崔香淑(チェヒャンスク)は戦後、日本人(汐見)と結婚し、出自を隠して汐見香子(きょうこ)として暮らしています。その娘、薫は大学生。 薫は、70年安保闘争の渦中に母が朝鮮半島出身であることを知り、母が出自を隠していたことにショックを受ける。「なんでそんな大事なこと黙ってたの! . . . 本文を読む
写真:長崎に投下された原爆のきのこ雲(Wikipediaより) 朝ドラ、「虎に翼」で原爆裁判が進行中です。 ドラマのモデル、三淵嘉子が実際に担当した裁判です。 被爆者の損害賠償請求権に関する裁判ですが、原爆投下が国際法違反かどうか、米国に賠償責任があるか、戦前の日本を引き継いだ戦後の日本政府に賠償責任があるかなど、論点は多い。 1963年に出た実際の判決(東京地裁)は、被爆者に損害賠償請求権を認め . . . 本文を読む
少し前のことですが、朝ドラ「虎に翼」で、主人公の佐田寅子は、最高裁長官の息子、星航一との再婚を決めます。 寅子には、戦病死した夫との間に娘(優未)がいる。 星も先妻と死別し、息子と娘がいる。 その際、結婚後の姓(名字)をどうするかが問題になりました。 寅子のほうは、最初の結婚で、猪爪姓から佐田姓に変わっています。 しかし、再婚時に「星姓」になるのに抵抗がある。 それで、結婚後も「佐田」という名字 . . . 本文を読む
朝ドラ「虎に翼」の寅子が転勤で3年ぶりに東京に帰ってきたとき、猪爪家には電気洗濯機がありました。寅子が花江の家事を楽にするために買ったものだそうです。 時は1955年。 日本は「戦後復興期」が終わり、朝鮮戦争特需を経て高度経済成長期に入りました。 それにともない家庭にはいろいろな家電製品が入ってきます。白黒テレビ、電気洗濯機、電気冷蔵庫が「三種の神器」といわれたそうです。「三種の神器」とは、日本 . . . 本文を読む
「どうして人を殺しちゃいけないのか」「虎に翼」の美佐江の疑問をそのまま書名にした本があります。 小浜逸郎『 なぜ人を殺してはいけないのか-新しい倫理学のために』(2000年、洋泉社刊。その後PHP文庫)です。 著者小浜逸郎(こはま・いつお)は1947年生まれ。学習塾を経営をするかたわら、評論・執筆活動を始め、1985年『学校の現象学のために』以後、家族論、学校論、ジェンダー論、政治論、倫理学など、 . . . 本文を読む
「虎に翼」で、謎の優等生、美佐江は異彩を放っています。 森口美佐江は、新潟三条の大地主の娘。虎子にあこがれ、東京で法律を学ぶことめざして受験勉強をしています。 美佐江は、「先生は私の特別です」と言って、ビーズで作った赤い腕飾りをプレゼントします。 ところが、寅子が担当する少年傷害事件裁判の被害者(元木)が、同じ腕飾りをしていた。 元木は鞄をひったくった相手から暴行を受けたのです。元木は市内で頻発し . . . 本文を読む
これまで朝ドラ「虎に翼」に関連した記事で、関東大震災のときの朝鮮人虐殺事件に言及したことがあります。「虎に翼」に思う~民族差別 数日前の放映分で、実際にドラマの中で朝鮮人虐殺事件が出てきて、ちょっとびっくり。 刑事部判事補の入倉が、放火裁判で被告の弟の広洙が騒いだことについて、「広洙が怪しい…。何事も火のないところに煙は立たずですよ」といいます。 それに対し、裁判長の星航一は、関東 . . . 本文を読む