写真:『辞書になった男-ケンボー先生と山田先生』(佐々木健一、文藝春秋2014年刊) 最近よく行くカフェのマスターを通して、『辞書になった男-ケンボー先生と山田先生』(佐々木健一、文藝春秋2014年刊)という本を知り、早速ネットで注文して読んでみました。 ケンボー先生というのは『三省堂国語辞典』(三国)の主幹、見坊豪紀(けんぼう・ひでとし)のこと。 山田先生というのは『新明解国語辞典』(新明解)の . . . 本文を読む
写真:赤瀬川原平『新解さんの謎』(文藝春秋、1996年) 『三省堂国語辞典』の「視覚語」の項に、〔この辞書の用語〕とあるのを見て、『新明解国語辞典』の「恋愛」の項を思い出しました。れんあい【恋愛】-する特定の異性に特別の愛情をいだいて、二人だけで一緒に居たい、出来るなら合体したい、という気持を持ちながら、それが、常にはかなえられないで、ひどく心を苦しめる・(まれにかなえられて歓喜する)状態。 この . . . 本文を読む
私が「二刀流」という言葉を知ったのは、1970年頃、家にあった子ども用の伝記『宮本武蔵』を読んだときでした。 当時私は、毎週日曜日、近所の警察署の道場で剣道を習っていました。 佐々木小次郎との「巌流島の戦い」などに、胸躍らせたものでした。 当時発行され、ベストセラーになった『新明解国語辞典』初版(1972年、三省堂)は、二刀流を次のように説明しています。にとうりゅう【二刀流】左右の手に刀を一本ず . . . 本文を読む
三省堂国語辞典が改訂されました。 第8版(奥付は2022年1月)は、2014年1月の第7版から8年ぶりの改訂です。 発売日(12月20日)に早速入手しました。 序文は、次のように書き始められています。 私たちの言語生活は、今や完全にインターネット空間に軸足を移した観があります。ここ十年ほどでスマートフォンがすっかり普及し、SNSの利用率も全世代で高まっています。2020年からの新型コロナウイルス . . . 本文を読む
帰省した折、家にあったロシア語辞典を持ち帰りました。博友社ロシア語辞典1975年版 今から45年前に発行された古い辞書。私が最初にロシア語を学んだ1979年に買ったものです。 編者は、木村彰一、栗原成郎、佐藤純一、中村喜和、松井茂雄、森安達也の6人。 私は大学で第3外国語としてロシア語の授業をとりました。そのときの先生が、この中の一人、中村喜和先生でした。 授業は6か月。週一回の授業で、文法が最 . . . 本文を読む
40年ほど前、私は大学の第三外国語でロシア語を履修しました。 当時は、語学をやるにはまず辞書が必要と思っていましたから、早速書店に行って、ナウカという見慣れない出版社からでていた露和辞典を購入。 しかし、大失敗でした。ソ連(懐かしい!)で発行されたものをそのまま日本で出したようで、語数は多いけれど、用例は少なく、初学者に使いこなせる代物ではありませんでした。 それでもう一冊、博友社の『ロシア語辞 . . . 本文を読む
この3月に小学館から出た『プログレッシブ インドネシア語辞典』を入手しました。 同じ小学館から出ている『朝鮮語辞典』と同等の辞典を期待していましたが、やや期待はずれ。 たとえばページ数は、朝鮮語が2千ページを越えるのに対し、インドネシア語は千ページちょっと。収録語数は朝鮮語が11万語にのぼるのに対し、インドネシア語は3万3千項目。また見出し語には、接頭辞つきの動詞を含んでいるので、実際の収録語数 . . . 本文を読む
昨年、インドネシア語の勉強を始めました。語学の学習に辞書は必須。しかし、大型書店に並んでいる辞書は、刊行年度がかなり古い。それで辞書は購入せず、単語集を辞書代わりに使うことに。 11月にインドネシア出張に行ったときは、インドネシアの書店にあったインドネシア語・日本語辞典とインドネシア語・英語辞典を買いましたが、単語数が少なく、例文もないので、単語集と五十歩百歩。それで、必要なときはネット辞書を使 . . . 本文を読む
安倍首相の靖国参拝で、日中韓の関係が険悪になっている、という話ではありません。 三国(サンゴク)ではなく三国(サンコク)、三省堂国語辞典の話です。 1月10日、三省堂国語辞典(通称三国)の第7版が出たので、早速買いました。 三国は「辞書は鏡」を標榜する辞書(→リンク)で、新しい語・用法を逸早く辞書の項目に立てることに命をかけています。編集主幹見坊豪紀は故人ですが、その編集方針は、第6版 . . . 本文を読む
少し前に関西の大学生と辞書について語り合ったとき、白川静の話が出ました。その数日後、朝鮮日報に白川静の名前を見つけたので、ご紹介します。朝鮮日報2013年11月17日【萬物相】定年保障と学問 日本の福井県福井市出身の漢字研究者、故・白川静さん(1910-2006)は、甲骨文字や漢字の起源についての研究では世界的な権威だ。先日韓国で翻訳出版された白川氏の著書『漢字百話』は、白川氏が大学を定年退職し . . . 本文を読む
大阪出張時、以前東京で会った外語大学生に連絡をとり、晩御飯を食べました。辞書オタクだという友だちも連れてきた。大阪駅近くの韓国料理に入り、サムギョプサルを注文。若者だけにもりもり食べます。「大学三年だと、就活だね」「いえ、私は院を考えてるんで」「何学部?」「それが、私がやりたいことができる大学が少なくて」「何がやりたいの?」「レキシコグラフィーです」 日本語では辞書学。辞書について研究する学問だ . . . 本文を読む
タイ語に手頃な辞書がないことを、前の記事で書きました。辞書がだめならネットはどうか。 あらためて探してみると、いくつかあります。 まず、「タイ語の簡易辞書」(e-ThaiLanguage.com) 個人で運営しているとのことで、登録単語数は4000語余り。日本語からでもタイ語からでも引くことができます。すべての単語が音声つきであるところがすごい。日本語にも音声が入っているところをみると、タイ人が . . . 本文を読む
私が韓国と関わり始めた1990年、韓国語の辞書にはろくなものがなかった。韓国民衆書林の韓日辞典、金素雲の辞典などがあった程度。どれも日本語を学習する韓国人向けの辞書でした。 そこに登場したのがコスモス朝和辞典。収録単語数は少ないけれど、必ず例文がついていて、重要語とその例文がカセットテープに収録されているのがうれしかった。この辞書の編纂に協力した韓国人に会ったことがありますが . . . 本文を読む
東日本大震災が起こってから,ニュースで盛んに使われる言葉に,聞き慣れない言葉がいくつかあります。 まず,シーベルト。 手近にある新明解国語辞典第四版(1991年),集英社国語辞典第二版(2000年)には見当たらない。三省堂国語辞典第六版(2008年)にはありました。シーベルト:放射線の照射による生物学的な影響を、放射線の種類によらずにあらわす量の単位。 建屋という言葉も聞き慣れない。漢字からして . . . 本文を読む
電子辞書の発達で,いまやマイナー言語を除いては,本の辞書を使う人は少なくなったのではないでしょうか。 私も大辞泉とジーニアス英和大辞典,小学館朝鮮語辞典の入った電子辞書を愛用しています。何種類もの辞書が一台に入っているのも便利。 ただ,電子化の威力は「百科事典」において著しいと思います。 十巻以上の百科事典は置き場所にも困るし,検索も不便。まず索引の巻で目指す項目を探し,該当の巻を調 . . . 本文を読む