クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

蛍が出てくる小説・7『螢川』(宮本輝)

2020-08-25 | 本と雑誌

 直木賞つながりで、もう少し『文学』をよみたくなった

 

しん(親)友・チットが 言うので、


 

みやもとてる(かんじ:宮本輝)の 短ぺん(編)

『螢川』

を 

えらんでみました。

 

 

出だし→「銀蔵爺さんの引く荷車が、雪見橋を渡って八人町への道に消えていった。」


 (まちがいない 

これぞ、文学



(※新潮文庫では、名作『泥の河』と カップリングされています

 

 

『螢川』は、

連想としての ほたる(蛍)

ではなく、

蛍狩りを ラストシーンにすえた、

ちゃんと ホタルが描かれている 

小説です。



 しかし ただ・ホタルの生たい(態)が

記されている

わけではなく

 

 

よるべない庶民の、

フワフワした・運命や、

いっしゅん(一瞬)のきらめき

が、

ホタルに

しょうちょう(象徴)されているのは、


明らか・・

 



 「北陸の町外れに住む、

母と息子が、

事業に失敗して 死んだ父

想いながら、新天地へ向かう、、」


いうところで、ふいっと 終わる

 

 

 

まるで・・

 

蛍火のような ストーリーです。。

 

 

 

 

宮本てる(輝)や、 

山本周五郎 あたりの

ヒューマニズム系作家には、

必ず 

苦労疲れした、市井の人々

と いうのが 出て来ますが、

 

 

物語の

どこかに・・

ひとすじの光を 差し込ませているから

 

 

どくごかん(読後感)は、

ほのあかるい・・

 

 

 それが、「ホタルの希望」と いうものか・・



 

 

 

 

『螢川』は 

宮本さんの「芥川賞受賞作

ですが、

平成以降の「芥川賞作品」と 

ちがって

 

全く、奇をてらっていない

ごく・ふつうの設定の、地味とも言える作品

 

です。




でも・・・

 

 それでいて 読ませるのが、

「文学」ですよね

 

 

 

 


<おすすめ度:そこそこ>

 

 

 

(次回は、織田作之助の『螢』を レビューします

 

 

コメント (12)
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