元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

“九州ハイエンドフェア”のリポート。

2006-05-08 18:09:32 | プア・オーディオへの招待

 去る5月5日~7日に福岡国際会議場で開かれた「九州ハイエンドオーディオフェア&ホームシアターフェア」に行ってきたので、軽くリポートしてみたい。

 ざっと見た結果、これだけはハッキリ言える。

もはや国内メーカーのスピーカーなど、購入候補に挙がらない

・・・・ってことだ。今回出品されていた国内ブランドは、唯一豊富なラインナップを揃えているビクターと、久々高級クラスを発表したパイオニアと、元々は置き台のメーカーで近年高剛性のスピーカーを市場に出しているTAOCの3社だったが、どれも海外ブランドに比べて大きく見劣り(聴き劣り?)がする。確かに整った音作りなのだ。低歪率で、バランスが良くて、大きな欠点もない、極めてマジメに作られていることは分かる。でも、決定的な部分が不足している。それは“色気”とも“ツヤ”とも“個性”とも言われるものである。つまりは聴く楽しさが国内製品には少ない。あまりのマジメぶりに、歪みが少ないはずなのに“聴き疲れ”がしてしまう。TAOCなんて、ユニットは海外製なのに、出てくる音は日本的マジメさに充ち満ちているのだから呆れる(爆)。

 日本においてオーディオが斜陽部門に成り果て、各メーカーが長らく及び腰でいた間に、海外メーカーとの差が大きく開いてしまったということだろう。昔は、海外製スピーカーで有名なのはJBLタンノイぐらいで、ほとんどのユーザーはまず日本製を購入対象として考えた。だが今は、ペア10万円以内で購入できる国内ブランドは実質2,3社。対して海外製は10社を超える。これがペア25万円ほどに範囲を広げると、海外ブランドは20社以上になる。個性豊かで聴いて楽しい海外製品がドッと入るようになれば、オーディオ不況で足腰の弱った国内メーカーとってはきつい環境だ。ある程度理詰めで何とかなるアンプ類は別として、スピーカー部門においては国内メーカーの出る幕はなさそうである(少なくとも、私はそう思う)。

 今回初めて聴けた海外ブランドのスピーカーの中で感心したのは、まずスイスのPIEGAである。すべてアルミのキャビネットで見た目は冷たい印象だが、サウンドは実にキュートで愛嬌がある。低価格クラスは一般ピープルでも十分手が届くプライスで、ほとんどの音楽ファンはこれで満足してしまうのではなかろうか。イギリス(スコットランド)のLINNも初めて聴いた。これはソフトで繊細きわまりなく、いっぺんハマると抜け出せないほどの魅力に溢れている。値段は高いが、固定ファンが多いらしい。それも当然かと思った。

 イギリスのMERIDIANも素晴らしい。ちょっと聴いた印象はモニター調。しかし、独特の明るさを伴う品の良さで、思わず長時間聴き入ってしまう。フランスのJMlabやイタリアのSonus Faberは噂通りの色気で魅了。塗装等の仕上げも申し分ない(高価だけどね)。英国ブランドQuadの高級スピーカー(屏風型)も初めて接したが、まるでスピーカーの陰で歌っているのではないかと錯覚するほどのヴォーカルの再現性には舌を巻いた。

 あと、ヴィジュアル部門では相変わらずの高級プロジェクターのデモが行われていた。係員の話では、120インチのスクリーンとDLP方式(あるいは、それと同等のスペックを持つ機器)のプロジェクターというのが、一戸建てにおけるホームシアターの“定番”になりつつあるとか。サイズ面でもそれが限界だろう。将来私も家を新築する際は、それを想定して間取りを考えることにしよう(笑)。その前に、ハイヴィジョン用ディスクの規格をどうにかしてほしいけどね。

 それにしても、福岡国際会議場というのは、建物がデカい割に中はガランとしていて、普段一体何に使っているのだろうかと思ってしまう。ホームページを見てもあまりスケジュールが詰まっていないし、ひょっとして所謂“無駄なハコ物”のひとつではなかろうか(爆)。
コメント
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