竹かんむりに旬と書く。
文字通り、いまが旬の、たけのこ。
雨が降った後の竹やぶのそばにニョキニョキと出てきた。
心得のある人は、何十センチも伸びたのは相手にしない。
地面からかろうじて頭の先だけのぞかせたのを探しあてて掘る。
そして掘りたてをすぐさま茹でれば、あくもなくまろやかで美味しい。
うっかり見過ごすと、これが一夜にしてあっと驚く背丈になってしまう。
「ふしぎなたけのこ」(松野正子作・瀬川康男絵 福音館書店)は、
子どもの頃に、好きだった絵本のひとつ。
たけのこ掘りに行った少年たろが、
ぐんぐんのびるたけのこのてっぺんにしがみつき、降りるに降りられず…。
村人たちが救出に駆けつけ、たけのこを切り倒すと
山から海まで道ができた、というのだから、
いったい全長何キロメートルのたけのこか。
荒唐無稽には違いないが、たけのこの伸びる早さとエネルギーは
まさにこういう感じなのだ。
そして、たけのこ料理に海のもの(わかめとか鰹節とか)を合わせるのも、
なるほど、こういう由来だったのか、と思わず納得してしまうくらい、
祝宴の場面が実感にあふれて美味しそうである。
ツクシは決してスギナにならないが、たけのこは竹になる。
で、どこまでがたけのこで、どこからを竹と呼ぶのか、というと、
その境目はきわめてあいまいでよくわからない。
かなり高く高く伸びても、いつまでもたけのこのふりをしている。
竹やぶの中にそういうのを見かけると微笑ましい。
それが、ある日突然、「竹です」ときっぱり名乗るのだ。
見れば、たけのこっぽい面影をかすかに残してはいるものの、
もう立派な青竹である。
あ、ほんとだ。ははは。いつのまに。
なぜか照れ笑いなどして、見上げる。
頭をなでてやったのが遠い昔のことのようだ。
文字通り、いまが旬の、たけのこ。
雨が降った後の竹やぶのそばにニョキニョキと出てきた。
心得のある人は、何十センチも伸びたのは相手にしない。
地面からかろうじて頭の先だけのぞかせたのを探しあてて掘る。
そして掘りたてをすぐさま茹でれば、あくもなくまろやかで美味しい。
うっかり見過ごすと、これが一夜にしてあっと驚く背丈になってしまう。
「ふしぎなたけのこ」(松野正子作・瀬川康男絵 福音館書店)は、
子どもの頃に、好きだった絵本のひとつ。
たけのこ掘りに行った少年たろが、
ぐんぐんのびるたけのこのてっぺんにしがみつき、降りるに降りられず…。
村人たちが救出に駆けつけ、たけのこを切り倒すと
山から海まで道ができた、というのだから、
いったい全長何キロメートルのたけのこか。
荒唐無稽には違いないが、たけのこの伸びる早さとエネルギーは
まさにこういう感じなのだ。
そして、たけのこ料理に海のもの(わかめとか鰹節とか)を合わせるのも、
なるほど、こういう由来だったのか、と思わず納得してしまうくらい、
祝宴の場面が実感にあふれて美味しそうである。
ツクシは決してスギナにならないが、たけのこは竹になる。
で、どこまでがたけのこで、どこからを竹と呼ぶのか、というと、
その境目はきわめてあいまいでよくわからない。
かなり高く高く伸びても、いつまでもたけのこのふりをしている。
竹やぶの中にそういうのを見かけると微笑ましい。
それが、ある日突然、「竹です」ときっぱり名乗るのだ。
見れば、たけのこっぽい面影をかすかに残してはいるものの、
もう立派な青竹である。
あ、ほんとだ。ははは。いつのまに。
なぜか照れ笑いなどして、見上げる。
頭をなでてやったのが遠い昔のことのようだ。