この夏ごろから、グリム童話に関連して、
あれこれうだうだと「変な考察」を書いていたのは、
昔話のリライトのお仕事を(めずらしく)していたからです。
いくつか書いたうちの一部が、このほどリリースされました。
リリース・・って何かというと、じつは紙の書籍ではないので
「出版」とは言わないわけですね。
そして「製品」という呼び方にも、まだ慣れないのですが、
インターネットでダウンロードして、iPad等の画面で読むという・・
いわゆる電子本でございます。
「金のがちょう」など、グリムのいくつかのイラストを
田中六大さんが描いてくださってます。(←現在進行中もあり)
そして「タップすると絵が変化する」仕掛けもあるそうですが、
いまのところiPhoneもiPadも持ってない閑猫は
な~んと自分ではまったく見ることができない(・・涙)
その種の道具をお持ちの方で、興味がおありの方は、
無料お試し版もありますので、「こんなだったよ」と、
ぜひご感想など教えてくださいませ。
このあとも、パラパラと続いて出る予定。
(12月15日追記)
リンク先が変わったので訂正します。
これまでにリリースされたのは次の4点です。
・シンデレラ(ペロー)
・いばらひめ(グリム)
・金のがちょう(グリム)
・はなたれこぞうさま(日本昔話)
児童図書の出版社でも、出版物を電子書籍化する動きが、
少しずつ始まっているようです。
わたしは電子書籍というものに対し、積極的ではありませんが、
アタマから否定的というわけでもないし、
両者を対立するものとは考えていません。
すでにパソコンで仕事したり、こうしてブログを書いたり、
別館ではちょこっとフィクションも書いたりしていますので、
それらの延長上にある(ように思える)「発表の場」のひとつとして、
当然、多少の興味は持って眺めています。
今回、「デジタル」で「リライト」という
ダブル「珍しいこと」をあえてお引き受けしたのは、
半分はプライベートな理由でしたが、あとの半分は好奇心から。
どんなものなのか。
何ができるのか、できないのか。
自分のやりかたや好みに合うか、合わないか。
試してみないことには、良いとも悪いとも言えませんから。
結果・・は、まだこれからなので、結論は控えますが、
あ、これは「使いよう」だな、というのが第一印象。
とくに視覚効果に関しては、紙の絵本では難しいことで、
わたしが絵を描く人だったらぜひやってみたいようなことが
いくつか思い浮かんだりしました。
昔のレコードがCDに、ビデオテープがDVDになったように、
紙の書籍が今後すべて電子本に入れ替わるかというと、
そうではないだろう、と思っています。
それぞれに、できることと、できないことがある。
それぞれの良さをうまく生かすことを考えていけば、
どちらでも、いくらでも面白いものが作れる。
可能性も将来性も、両方にある。
逆に、紙の本を丸ごととりこめば電子書籍ができる、
(そうしたら元の本はもう要らなくなる)
と安易に考えていたら、遅かれ早かれ駄目になるでしょう。
性質の違う「いれもの」なのです。
ふるいで水が汲めないように、あるいはイソップ寓話の鶴が
スープ皿からは飲めないように、デジタルでは伝えられないもの、
抜け落ちてしまうものが、いろいろあるかもしれません。
そして、もちろん、形態や見かけ以前に、
重要なのは「なかみ」ですよ、ね。
そこに何が書いてあるか。
その人は、何を考え、どのように表現し伝えようとしたか。
ラスコー洞窟の壁画だろうと、iPadのアプリだろうと、
元のところは、きっと、同じ。
本日の水玉。
雪柳の小さい葉っぱの上、
小さい小さい水玉ふたつ。
「宝石じゃなく水玉が好きでよかった」
とMに言われました。
え、宝石も、ビー玉も、好きですけど?(笑)