恐竜の絵本が2冊できました。
『ティラノサウルスのはらぺこないちにち』
『トリケラトプスのなんでもないいちにち』
竹下文子・文/鈴木まもる・絵/偕成社 2020年7月刊
テキストができたのは2年半ほど前で、そのころのブログにもちらっと書いていたので(その1・その2)ご記憶の方もいらっしゃるかと。
その後、絵を描く人が忙しくなったため、すこし間があきましたが、このほどめでたく2冊同時発売となりました。
肉食恐竜のティラノサウルスは、朝からはらぺこ。
えものをみつけて追いかけても、逃げられたり…
大きすぎたりして、なかなか食べられず。
一方、草食動物のトリケラトプスは、
ひたすらむしゃむしゃ草を食べ…
たまにちょっと「どきどき」もあるけど…
なにごともなく、夕暮れまでひたすら草を食べる。
というわけで、同じ時代、同じ地域に暮らす2頭の恐竜の「ある一日」を描いた絵本です。
2冊に分けたのは、草食動物と肉食動物を1冊に入れると、どうしても被害者と加害者、善と悪の図式になってしまうからで…。
ティラノ君だって、いつも悪役では面白くないだろうし、そもそも動物が(動物ですよ。怪獣ではない)生きるためにゴハンを食べるのはあたりまえのこと。肉食だというだけで凶暴だとか獰猛だとか決めつけるのは間違っている。トリケラはトリケラで、じぶんのゴハンを食べて暮らしている。それだけのこと。良いも悪いもありません。
それなら、変な擬人化も擬竜化もせず、「対戦」もさせず、肉食、草食、それぞれの立場から、行動の違いや周囲との関係を書けば…と考えました。いわば1枚のレコードの「サイドA」と「サイドB」のような…(たとえが古すぎるよ!)。
主役の2頭が直接顔を合わせるシーンはないのですが、気をつけて見ていただくと、あ、あれが、あれか…とわかったりする仕掛け。なので、単独でももちろん読める絵本ですが、2冊合わせると4倍楽しんでいただけるんじゃないかと思います。
裏表紙は、骨格標本です(笑)
黒にゴールドの文字という渋カッコイイ系の帯がつきました。
じつは、というか、当然ですが、わたしは生きている本物の恐竜を見たことがありません。
手がかりは、発掘された骨の化石だけ。そこから復元された骨格標本と、生きていたときはこうだった(かもしれない)という想像図だけ。
それではどうもぴんとこないので、肉食のティラノサウルスは、うちの池の亀(と猫も少々)を参考にして、草食のトリケラトプスは、そこらの鹿のようなものだと思って、それぞれの行動や気持ちを想像して書きました。
恐竜本体だけでなく、その時代の風景というのも、さっぱりわからない。なんとなく、遠景に火山が火を噴いていて、沼みたいなものがあって、巨大なシダかソテツっぽいものが生えている、というぼんやりしたイメージはあるけれど、ほんとはどうなんだろう。タイムマシンに乗れたら、ぜひ見てみたいです。(確実に酔いそうだけど…)
福井県立恐竜博物館の寺田和雄先生(数少ない古植物学者のおひとり)にはたいへんお世話になりました。ありがとうございました。