かたや、ヤマガラさん。
こなた…あれ? きみは誰だ?
スズメさん?!
…と驚くのは、ここの環境がほぼ「山林」だからです。
スズメがいるのは、もっとひらけた場所で、人家があって田畑があって雑草の生えた空き地などもある「里」から「町」にかけて。
だから閑猫堂では、スズメが来たというだけでニュースになる。
そのスズメが、突然やってきた。だけでなく、「ちゅん! ちゅん! ついっちょん!」と明らかに繁殖期のさえずりをしているのは、なぜかというと、
2階のベランダに巣箱をつけたからです。
じつはここ、ヤマガラ夫婦がすでに契約済みだったのに、今朝早くひと騒ぎあり、どうやらスズメが押しかけてきて横取りしちゃったらしい。
そういうことは以前もあった。でも、もう何年もスズメは来ていなかったので、大丈夫かなーと思ったのが甘かった。
昔ながらのわら葺きや瓦葺きの家が減るにつれて、巣作り場所がなくなり、スズメ社会では深刻な住宅難だそうだ。
スズメは狭いとこにもぐりこむのがうまく、3センチの入口があれば入るというけれど、うちの屋根を見ても、瓦(というのかな?)の形状はフラットで、ぴっちり固定されており、軒先にもどこにもまったく隙間というものがない。換気口も目の細かい網でガードされている。こちらが頼んだわけではなく、現代の住宅というのは、はじめから人間以外の生物をシャットアウトする仕様になっているのです。
繁殖に成功できるかどうかは、場所の確保にかかっている。だから春のスズメは、みんな隙間探しに必死。ベランダに巣箱がついたのを、どこか遠くからしっかり見ていて、早い者勝ち、それ行け、と飛んできたのだ。
もともと瓦の隙間で満足な鳥だから、この巣箱ほどの大きさ深さは必要ないのだが、大きすぎれば巣材をいっぱい詰め込んで狭くすればいいじゃない、という適応力がスズメにはある。
ヤマガラとスズメでは、身体の大きさはほぼ同じだけれど、スズメのほうが断然気が強く、たいていヤマガラが追い出されてしまう。
しかたがない、この巣箱はスズメさんにあげよう。ヤマガラさん用には、急いで新しいのを作ってもらいましょう。
朝早くから屋根で誇らしげに鳴くスズメ氏。
あらま、すでにペアでしたか。
2羽連れ立って、さっそく庭で餌さがし。
(2羽…撮ったつもりだけど、1羽しか写ってない!)
くわえているのは巣材かな?
この日はホオジロもペアで庭に来ていたし、アオジかカワラヒワか、黄緑っぽいのもちらっと見かけた。
声だけは、ウグイス(「ホー、コマチャン!」と鳴いてる)、コジュケイ、サンショウクイ、カケス、イカル。
そういえば2週間くらい前だったか、山のほうで「ほーい、たすけてくれえ、たすけてくれえ」と繰り返し鳴く鳥がいた。
それほど深刻でも切羽詰まった感じでもなく、ちょっと手伝ってほしいけどあとでもいいよーと言ってるみたいな、リコーダーのような声。
初めて聞く声だったので、Mと「なんだろうね?」と言っていたけれど、2日続けて鳴いて、その後は聞こえない。
なんだったんだろうね?