新羅系と思われる須恵器の壷です。
最大径 21.4㎝、口径 14.6㎝、底径 14.1㎝、高 18.0㎝。新羅時代。
堅く焼き締まった壷です。
現在、こういう品は、あまり人気がありません。いかにも地味だし、考古学的には中途半端(^^;
しかし、須恵器は、陶磁器史上、一つの区切りとなる焼物だと思います。轆轤の冴え、高温焼成、美しいフォルム。釉薬と絵付けを除けば、完成度の高い焼物と言ってよいでしょう。
朝鮮半島の須恵器の技術は日本へ伝わり、各地で須恵器の生産が大規模に行われ、中世陶、六古窯にも影響を与えました。朝鮮半島の須恵器が、日本の生活文化に及ぼした影響の大きさは、はかり知れません。
さて、今回の品です。
口、肩、胴に、櫛目紋がぐるっと4本回っています。縦方向にも櫛目でアクセントがつけてあります。
特にこれといった見所のある品ではないですが、胴に黒く艶のある部分がいくつかあります。
火表になって、炎が回ったのでしょう。反対側は白っぽいです。
こういったところが、景色と言えば景色(^.^)
底は焔から遠いので、ほとんど白に近いです。
いっそ全体が白っぽくなって、中世陶の白瓷になれば、数十倍の値になるのですが(^^;
いくつか欠けがあります。口の欠けは非常に古いですが、高台の疵は最近できたばかり。この品、一時は、けっこうな頻度でお使いになっておられました。その時の疵でしょう。気軽に花を入れるには向いているのです。
欠けがそれほど気にならないのが、この品の最大の特徴か(^.^)
須恵器には単調なものが多いですが、これは、かなりの見所を備えていますね(^_^)
一時、業者が新物の掛軸の絵付け(日本画)を、台湾の工房に大量に発注していました。良く描けているのですが、人物の表情などが微妙に我々のイメージからずれていました(^^;
色もよく似ていて、花を入れると花がとても引き立ち重宝しています。
この器も花を入れたら素敵になるでしょうね。
新羅時代の物なんですね、ロマン感じます(^_-)-☆
私がやっても、それなりに見えるから不思議です(^^;
良い花器は花を選ばず、
ではなく、
良い花器は人を選ばず(^.^)