北陸ゆかりの文士と言えば、金沢三文豪の室生犀星・徳田秋聲・泉鏡花だが、とりわけ、室生犀星の蟹好きは、有名で、人後に落ちなかった。
犀星は、ズワイガニよりもメスの「こうばこ蟹」を好み、一般的には、「香箱」や「甲箱」と書くところを、「紅波甲」と独特の呼び方をし、蟹を送ってもらった礼状や句、随筆に「紅波甲」と記している。
金沢の実兄が、カニを届けた時の礼状には、「紅波甲や凪ぎしみやこも北の海」の句を添えた。
また、親交のあった芥川龍之介にも金沢の蟹を贈っている。芥川は、「室生犀星金沢の蟹を贈る」の詩書を添えて、「秋風や甲羅をあます膳の蟹」の句を残しているが、雌雄が不明だ。
「甲羅をあます」のは、図体の大きなズワイガニと解釈すると、犀星が、自身の好みよりも、贈り物に高価な方を選んだのかなと想像が広がり、愉快になる。
犀星は、ズワイガニよりもメスの「こうばこ蟹」を好み、一般的には、「香箱」や「甲箱」と書くところを、「紅波甲」と独特の呼び方をし、蟹を送ってもらった礼状や句、随筆に「紅波甲」と記している。
金沢の実兄が、カニを届けた時の礼状には、「紅波甲や凪ぎしみやこも北の海」の句を添えた。
また、親交のあった芥川龍之介にも金沢の蟹を贈っている。芥川は、「室生犀星金沢の蟹を贈る」の詩書を添えて、「秋風や甲羅をあます膳の蟹」の句を残しているが、雌雄が不明だ。
「甲羅をあます」のは、図体の大きなズワイガニと解釈すると、犀星が、自身の好みよりも、贈り物に高価な方を選んだのかなと想像が広がり、愉快になる。