ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

産科医不足対策

2008年01月23日 | 飯田下伊那地域の産科問題

産科医不足が進行し、全国各地の基幹病院でも、相次いで産科部門の休廃止に追い込まれています。

個々の病院や自治体のレベルの自助努力には大きな限界があり、このままではこの先、各医療圏の産科医療体制がどこまで持ちこたえられるのか、全くわかりません。

いったん病院の産科部門が休廃止という事態になれば、産婦人科医や助産師達は散り散りにいなくなってしまいます。そうなってから、また一から人を集めなおし、産科診療再開にまでもっていくのは並大抵のことではないと思います。

現在の産科医療の危機的状況を打開してゆくためには、根本的には、国レベルの有効な施策による後押しが絶対に必要だと思われます。

****** 南信州新聞、2008年1月22日

舛添厚労大臣と意見交換

 舛添要一厚生労働大臣は19日、飯田市追手町の飯田合同庁舎で開かれた国民対話で医師確保について意見交換した。同大臣は「目先の問題も長期的なことも車の両輪でやる。問題は山ほどあるが、世界一長生きできる国を守っていきたい」と語った。

 はじめに、長野県を訪れた理由を「予防医療が優れていて高齢者医療のコストが非常に低い。モデルケースになる」と説明。東京大学の講師時代には同市千代で下宿をしたこともあるといい、「飯田の千代は第二のふるさと」と紹介した。

 国民対話では、厚労省の取り組みについて述べた後、参加者の意見質問に答えた。

 参加者は「無過失保障制度を国として考えてほしい」、「公立病院への(産婦人科に対する)補助金をなくさないで」と要望。舛添大臣は「無過失保障制度は病院や医者に掛け金を払ってもらいどんどん拡大したい」と答えた。

(中略)

 産科医の男性は、基幹病院が次々と閉鎖している現状を挙げ、「今までは大学が(医師を)うまく管理していたが、ここ数年できなくなり全国の産科がなくなっている」と指摘。「厚労省の対策は10年後に結果が出るものばかり。私たちはこの4月をどう乗り越えるかを考えている」と訴えた。

 舛添大臣は厚労省の対策を改めて示した上で「目の前をどうするかは非常に深刻。しかし国が命令して北海道から飯田へ来させるような強制力はない。公立病院だけでなく、開業医の皆さんとの連携が必要」とした。

(中略)

 終了後には記者会見が開かれ、舛添大臣は「次の閣議で総理とも相談し、政府全体として緊急事態の認識で(医師確保の)施策を考えたい」と語った。

(南信州新聞、2008年1月22日)