コメント(私見):
現行の臨床研修制度は、初期研修期間の2年間で、内科、外科、救急医療、小児科、産婦人科、精神科、地域医療などの必修科目を数週間ずつ研修するシステムです。その間に自分が将来専門とする診療科を決めて、医師免許取得後3年目から専門研修(後期研修)を開始する制度になっています。この制度は2004年に始まり今年で5年目になります。
今回、厚生労働省と文部科学省より、この臨床研修制度を見直して、2年間の初期研修期間のうち後半の1年間を将来専門とする診療科に特化させることで、専門研修の開始を実質1年早める案が示されました。
今は6週間ごとに2年目の初期研修医が産婦人科研修に回ってきてますので、年間を通していつも初期研修医が1~2名産婦人科病棟にいます。臨床研修制度が案通りに改定されると、研修医の中に産婦人科志望の者が1人でもいれば、2年目の研修医が1年間産婦人科に専従してくれることになりますが、産婦人科志望の者が1人もいない場合は1年間研修医が誰も産婦人科に来てくれないことになります。
また、地域ごとに研修医受け入れの上限を設置して、研修医が特定の地域に偏在しないように制度を改める方向で検討されているようです。
臨床研修制度が最終的にどのように変わっていくのか分かりませんが、将来的に研修医が誰も来なくなったら病院の体制を維持できませんから、病院側としても時代と共に自ら変革し続けていく必要があります。
****** 共同通信、2008年12月18日
臨床研修1年に短縮を提示 2010年度の導入目指す 医師不足で厚労、文科両省
医師不足の一因とも指摘されている医師の臨床研修制度について、厚生労働省と文部科学省は18日までに、現行2年の研修期間を実質1年に短縮するなど現場で働く医師を確保する見直し案をまとめ、厚労・文科合同の専門家検討会に提示した。検討会はこうした方向で議論し、年度内にも結論を出す。早ければ2010年度からの導入を目指す。
現行では、医師免許取得後2年間で7つの診療科の研修が必須だが、見直し案では、1年で内科や救急などの基本となる診療科の研修を終了、後半1年は将来専門とする診療科に特化させ、現場で診療も担わせる。
(以下略)
(共同通信、2008年12月18日)