新型インフル: 13歳以上は1回接種の見通し(厚生労働省)、自治体は「寝耳に水」
新型インフルエンザ: ワクチン接種を前に自治体悲鳴 「準備間に合わない」
新型インフルエンザ: ワクチン接種の基本方針決定
新型インフル: 感染中の分娩では産後すぐに母子を1週間隔離
新型インフル: 妊婦向けに防腐剤が入ってないワクチンが100万人分供給される見込み
「新型インフルエンザに感染した妊婦はまず内科受診を」 日本産科婦人科学会が注意喚起
****** 読売新聞、2009年10月19日
新型ワクチン1回接種、当面は医療従事者限定
厚生労働省の足立信也政務官は19日夜、新型インフルエンザ用ワクチンの接種回数について、原則1回にするとした方針は拙速だったとして、専門家との意見交換会で再検討した。
その結果、優先接種対象者のうち1回接種とするのは当面、医療従事者に限るとする案で合意した。20日に政務三役で正式決定するとしている。
国産ワクチンを20代から50代の健康な成人200人に実施した臨床試験の結果では、1回の接種で有効性が確認された。海外でも1回接種で十分とする知見が相次いで出されているため、16日に開かれた先の意見交換会では、13歳以上は原則1回接種とする意見で合意していた。
しかし、この結論に足立政務官が難色を示したため、今回は別の専門家からも意見を聞き、健康な成人以外の1回接種は科学的根拠に乏しいとの結論に至った。妊婦や基礎疾患(持病)のある人たちが1回接種のみで免疫がつくかどうかについては、「まだ結論づけることはできない」との意見が相次いだ。
「小規模でも妊婦や基礎疾患のある人を対象にした臨床試験も実施すべきだ」とする意見も大勢を占めたため、足立政務官は政務三役で改めて具体策を詰めるとしている。
(読売新聞、2009年10月19日)
****** 共同通信、2009年10月20日
妊婦ら接種回数を再検討 新型インフルで厚労省
新型インフルエンザワクチンの接種回数をめぐり、厚生労働省の足立信也政務官は19日夜、専門家らとの意見交換会を開き、先に別の専門家メンバーらが示した13歳以上は妊婦や基礎疾患(持病)のある人たちを含めて1回接種にするとした方針は拙速だったとして、引き続き検討することを決めた。
一方、健康な成人である医療従事者については1回接種で良いとの方向性を確認。政府として早急に結論を出すという。
国産ワクチンの接種回数については、尾身茂自治医大教授ら政府の新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員会のメンバーが出席した16日の会合で、従来の2回ではなく1回でも十分な効果を期待できるという臨床研究結果が報告された。
これを受けて同会合では、13歳未満の子どもと著しく免疫が低下している持病のある人を除いては、1回接種とすることで合意していた。
しかし、あらためて開かれたこの日の会合では「健康な成人を対象にした研究結果を基に、医療従事者以外について1回で良いと結論づけることはできない」など、合意を疑問視する意見が相次いだ。
席上、足立政務官は「(先の専門家による)合意は言い過ぎだった。医療従事者は1回接種もあり得る。その上で、妊婦や持病のある人の1回目の接種開始を早めたい」と述べた。
厚労省は今後、妊婦や持病がある人、中高校生を対象にした小規模な臨床研究の実施を検討、医療従事者以外の接種回数を慎重に決める考えだ。
(共同通信、2009年10月20日)
****** 毎日新聞、2009年10月19日
新型インフルエンザ:予防接種始まる まず医療従事者 妊婦・子ども、来月以降に
新型インフルエンザの予防接種が19日、医療従事者を対象に始まった。11月以降、妊婦や基礎疾患のある人、小児らに順次接種される。対象者は計5400万人。7月以降の新型インフルエンザ感染者は推計234万人に上っており、流行の本格化に備え、死亡や重症者の増加を食い止める効果が期待される。
厚労省によると、19日に接種を始めるのは大阪、千葉、山梨など23府県。残りは、23道県が週内に、実施医療機関の取りまとめに時間がかかった東京都が26日から、それぞれスタートする。
接種対象の医療従事者は、インフルエンザ患者の診察にかかわる医師や看護師、救急隊員ら約100万人。厚労省はこのうち国立病院機構の病院にいる2万人を対象に詳細な副作用調査を行い、安全性評価に活用する。
一般の接種開始は11月からで(1)妊婦、ぜんそく・糖尿病・肝硬変などの基礎疾患のある人(2)1歳~小学校低学年の小児、児童(3)1歳未満の乳児の保護者ら--などの順に、リスクの高い層から優先される。厚労省は近く、当初2回としていた接種回数を「13歳以上は原則1回」と改めたうえで、スケジュールの目安を公表する。
接種費用は1回3600円。厚労省は今のところ、13歳未満は免疫効果を高めるため2回接種とする方針で、同じ医療機関なら2回目は2550円に減額される。 【清水健二】
(毎日新聞、2009年10月19日)
****** 毎日新聞、2009年10月19日
新型インフルエンザ:予防接種開始 医療現場に安心感 予約制、保険証提示も
新型インフルエンザの本格的な流行に備え、19日、医療従事者へのワクチン接種が始まった。日常的に感染の危険性にさらされている関係者からは「これで安心できる」と歓迎の声が上がった。ワクチンは製造分から順次供給され、11月以降、重症化の危険性が高い人から順に接種が受けられるようになる。どの程度の効果と副作用が見込まれるのか、接種の手続きは……。大流行の恐れが指摘される中、関心が集まる。 【清水健二、沢田勇】
甲府市朝日1の井上内科小児科医院には10人分のワクチンが届き、この日午前9時半過ぎから、井上利男院長(70)が同院の看護師に注射した。
最初に接種を受けた看護師の長沼和子さん(61)は「患者と接するので、いつも感染の不安はありました。これでひと安心しました」と話した。同院では、医師、看護師、事務員15人に接種を予定している。
7月以降、新型インフルエンザに感染したとみられる患者五十数人を診察してきた井上院長は「ワクチンで大きな危機は乗り越えられると思う。不安を挙げるとすれば、基礎疾患のある人に接種した場合の副作用だ」と話した。
医療従事者以外への接種は、11月から始まる。時期の目安は厚生労働省が示すが、流通の時間などを勘案して具体的な日程は都道府県が決めることになっており、自治体のホームページなどで公開される。
接種を受ける場所について厚労省は、かかりつけの医療機関が望ましいとしている。基礎疾患(持病)がある場合、それが優先接種対象になるかどうかを判断してもらえるからだ。予約制で、16歳未満は保護者同伴が原則。予防接種は保険診療ではないが、年齢確認などで保険証の提示を求められることもある。
かかりつけ医がワクチン接種をしていなかったり、かかりつけの医療機関がない人は、市町村に照会して接種できる医療機関を調べることになる。勤務先の近くなど、居住地と異なる地域の医療機関を選んでもいい。接種対象者であることを示すため、妊婦は母子手帳、持病がある人は、かかりつけ医に発行してもらう証明書が必要。
重症化防ぐ効果期待 「季節性」同時接種で負担減
医療従事者を対象に、新型インフルエンザのワクチン接種が始まった。ワクチンは、感染自体を防ぐことはできないが、感染後の重症化を防ぐ効果が期待される。一方、厚生労働省は副作用の発生状況を監視するため、医療機関から国に直接報告する制度を設ける方針だ。
厚労省によると、後遺症が残る重い副作用は、毎年流行する季節性のインフルエンザワクチンでは100万人に1人に起きるとされる。新型の国産ワクチンについて、厚労省は今月、46%に副作用があったとする治験結果を公表した。大半は注射した場所が腫れるなど軽いものだったが、治験対象者200人のうち急なアレルギーショックと全身の発疹(はっしん)が各1例あったという。
専門家は新型、季節性の2ワクチンの同時接種も、医療機関や接種対象者の負担を減らすことができるとして勧めている。一方、高齢者は新型、季節性を問わずインフルエンザウイルスに感染すると、免疫力の低下で肺炎球菌による肺炎を発症しやすい。このため、肺炎球菌ワクチンの接種も勧めている。 【山田大輔】
(毎日新聞、2009年10月19日)
****** CBニュース、2009年10月20日
国産ワクチン接種始まる 医療従事者を優先 まず100万人 準備整わず出遅れも 新型インフルエンザ
新型インフルエンザワクチンの接種が19日、医療従事者を対象に全国各地で始まった。医療従事者は、ワクチンの供給量に限りがあるとして政府が設定した優先接種対象の順位1位。主に新型インフルエンザ患者の診療にかかわる医師や看護師らで、約100万人を対象に国産ワクチンを接種する。
ただ、接種に向けた準備状況は都道府県や地域によってまちまちで、初日のこの日に開始できない所も出た。共同通信が今月16日時点で実施した調査では、47都道府県のうち16都道県が「19日の接種開始は難しい」と回答している。こうした地域でも、近日中に接種が始まる見通しだ。
医療従事者に続き、来月には重症化のリスクが高い妊婦や基礎疾患(持病)を持つ人への接種が始まり、その後、1歳から小学校低学年までの子ども、乳児の保護者らに順次接種される。
厚生労働省は、従来2回としていた国産ワクチンの接種回数を13歳以上は高リスク者も含め原則1回に変更する方向で、対象ごとの接種時期は当初の予定より前倒しになる可能性がある。新たな接種スケジュールは今週中にも示される。
また、厚労省は医療従事者のうち2万人について、副作用の発生頻度などを調べる方針。
この日、甲府市の井上内科小児科医院では午前10時ごろ、井上利男(いのうえ・としお)院長(70)が看護師の長沼和子(ながぬま・かずこ)さん(61)の右腕に0・5ミリリットルのワクチンを注射した。接種後、長沼さんは「副作用の不安はない。(医療従事者を最優先とするのは)患者と接触するので良いことだと思う」と話した。
同医院には16日に1ミリリットル入りのワクチンが5本(10人分)届いた。追加分も含め、最終的に15人のスタッフが接種を受ける予定。井上院長は「持病のある人に打つのは(副作用の面で)不安はあるが、危機は乗り越えられると思う」と、ワクチンの効果に期待した。
(CBニュース、2009年10月20日)