ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

新型インフルエンザ・ワクチン: 接種の実施スケジュール

2009年10月28日 | 新型インフルエンザ

新型インフルエンザ: 重症化率が高い小児へのワクチン接種順位の前倒しの検討を提言 (日本ウイルス学会)

新型インフルエンザワクチン 1回接種、当面は医療従事者限定 妊婦や基礎疾患のある人の接種回数は再検討

新型インフル: 感染中の分娩では産後すぐに母子を1週間隔離

新型インフル: 妊婦向けに防腐剤が入ってないワクチンが100万人分供給される見込み

「新型インフルエンザに感染した妊婦はまず内科受診を」 日本産科婦人科学会が注意喚起

****** 南信州新聞、2009年10月28日

新型インフルワクチン 接種は来月9日から

妊婦や持病患者など優先

 県は26日、新型インフルエンザワクチンの優先接種スケジュールを発表した。妊婦や基礎疾患(持病)のある患者は11月2日から医療機関で予約を受け付け、最も早い人は同9日から接種を始める。接種を行う医療機関は今月29日に県ホームページなどで公表する。

接種の実施スケジュール(長野県)
優先接種対象者  予約開始日  接種開始日

医療従事者                  10月19日
妊婦:バイアル製剤   11月2日    11月9日
         シリンジ製剤  11月2日    11月18日
基礎疾患を有する者:
     最優先分   11月2日    11月9日
     その他    11月2日    12月9日
乳幼児(1~6歳)   11月16日   12月9日
小学1~3年      12月2日     12月22日
1歳未満児の保護者など  12月17日  1月13日
小学4~6年    12月後半~1月前半 1月後半
中学生       12月後半~1月前半 1月後半
高校生(輸入ワクチン)   12月または1月 1月中
65歳以上(輸入ワクチン) 12月または1月 1月中

 国の定めるワクチン接種の標準的なスケジュールに沿った内容だが、国が接種回数を2回から1回に見直す可能性もあるため、変更となる場合がある。接種は原則予約制で、個々の医療機関によって予約開始日が異なることもあるという。

 県のスケジュールによると、妊婦のうち、保存剤を含む「バイアル製剤」の希望者や、基礎疾患のある患者で「最優先」とされた人は11月9日から接種を開始。続いて、妊婦のうち、保存剤を含まない「シリンジ製剤」の希望者が同18日から接種を受けられる見込み。

 基礎疾患のうち「その他」と1~6歳の乳幼児は12月9日、小学1~3年生は12月22日、1歳未満児の保護者などは来年1月13日からの接種開始を予定。小学4~6年生と中学生は来年1月後半、輸入ワクチンの使用を見込む高校生と65歳以上は1月中の開始を予定している。

 基礎疾患者は1歳から小学3年相当の低年齢者を最優先としているが、さらに疾患ごとに優先基準が定められている。県は「国の基準を参考に総合的に判断するため、主治医に問い合わせてほしい」としている。

 限られたワクチン接種を円満に実施するための注意点として「1人で複数の医療機関へ予約することは避けてほしい。ほかの人への接種が遅れてしまう可能性がある」と指摘し、協力を呼び掛けている。

(南信州新聞、2009年10月28日)

****** 信濃毎日新聞、2009年10月27日

新型インフルのワクチン優先接種 県がスケジュール

 県は26日、新型インフルエンザワクチンの優先接種対象者の接種スケジュールを決めた。原則予約制で、妊婦や、慢性の心疾患、腎疾患、糖尿病などの基礎疾患(持病)のある人は11月2日から医療機関で予約を受け付け、同9日に接種を始める。

 国が示した接種スケジュールに沿った内容。国が接種回数を見直す可能性もあるため「今後、変更する場合もある」(県健康づくり支援課)。医療機関によって予約開始日が違うこともあるとしている。

 県のスケジュールでは、妊婦(県内約1万8千人)のうち、保存剤を含まない「シリンジ製剤」を希望する人には、出荷日程に合わせて11月18日に接種を開始。基礎疾患のある人のうち、疾患の程度などで「最優先」(約9万8千人)とされた人は接種開始が同9日、「その他」(約4万9千人)は12月9日とした。

 1~6歳の乳幼児(約10万8千人)も12月9日に接種が始まり、小学1~3年生(約6万3千人)は同22日、1歳未満児の保護者(約3万6千人)は来年1月13日の開始予定。小学4~6年生(約6万3千人)と中学生(約6万3千人)は1月後半となる。

 輸入ワクチンを使う見通しの高校生(約6万3千人)と65歳以上(約55万4千人)は1月中の開始予定。優先対象者以外のワクチン接種は今のところ未定としている。

 接種費用は全国一律で1回目が3600円。2回目を同じ医療機関で接種すれば2550円。県は、接種を受けられる医療機関名を29日に公表する方針だ。

 また県は26日までに、重症患者の受け入れ態勢を確保するため、入院患者数や受け入れ可能病床数を把握する「医療情報ネットワーク」の運用を始めた。医療機関からの報告を県が集約、医師会や医療機関などに提供するという。

(信濃毎日新聞、2009年10月27日)


新型インフルエンザ: 重症化率が高い小児へのワクチン接種順位の前倒しの検討を提言 (日本ウイルス学会)

2009年10月28日 | 新型インフルエンザ

新型インフルエンザ・ワクチン: 接種の実施スケジュール

新型インフルエンザワクチン 1回接種、当面は医療従事者限定 妊婦や基礎疾患のある人の接種回数は再検討

****** 毎日新聞、2009年10月26日

新型インフル:小児のワクチン接種前倒し…学会が提言

 日本ウイルス学会は26日、新型インフルエンザに関するパネルディスカッションを開き、重症化率が高い小児へのワクチン接種順位の前倒しの検討などを提言した。

 ディスカッションには7人の専門家が出席。押谷仁・東北大教授(ウイルス学)は、国内で小児の重症化率が高いことや、米国で入院患者の5割以上が未成年であることを説明。現在の優先順位で小学校低学年は医療従事者、妊婦、基礎疾患のある人、幼児に続いて来年1月中旬となっていることについて「接種しないまま流行のピークを迎えることになるかもしれない。この順位のままでいいのか早急に議論が必要だ」と訴えた。

 座長の河岡義裕・東京大医科学研究所教授(ウイルス学)は「輸入ワクチンは製造方法や接種方法が異なり、簡単に小児に接種できないが、基礎疾患のある人全員の接種回数が2回のままなら、小児まで国産ワクチンが回らない。ワクチンの接種回数を早急に議論し、政策に専門家の意見が反映される仕組みが必要」とまとめた。【関東晋慈】

(毎日新聞、2009年10月26日)

****** 共同通信、2009年10月28日

「専門家の意見反映を」 ワクチン接種回数で議論

 新型インフルエンザワクチンをめぐり、日本ウイルス学会が26日夜、都内で開いたパネルディスカッションで「予防接種について専門家の意見が反映される仕組みを作るべきだ」などの意見が相次いだ。

 新型ワクチンをめぐっては、厚生労働省が16日の専門家意見交換会で「1回接種」でいったんは合意したが、足立信也厚生労働政務官(民主)が異を唱え「医療従事者のみ1回、ほかは当面2回」と方針が変更された。

 パネルディスカッションで神谷斉(かみや・ひとし)・三重県予防接種センター長は「専門家が1回接種と決めた事を政治的に変える問題ではない」と指摘。1回でも効果があることを確認した臨床研究を担当した三重病院(津市)の庵原俊昭(いはら・としあき)院長は「2回するかは(2回目で)どのくらい効果を上乗せできるかにかかってくる。接種できない人を増やすのがいいのか、多くの人に1回接種するのがいいのかの議論になる」と述べた。

 押谷仁(おしたに・ひとし)東北大教授は「今のままでは(重症化しやすい)小学校低学年に接種できるのは12月中旬以降。その子たちは流行時期に接種を受けられない」と指摘。神谷センター長は「接種の順位を変える議論を早急にやるべきだが、厚労省に動きが無く、現場は不満を感じている」と批判した。

(共同通信、2009年10月28日)

****** 読売新聞、2009年10月27日

脳症50人…7~10月 7歳児最多10人

 新型インフルエンザに感染し、インフルエンザ脳症を発症した患者が7月からの3か月間に計50人に上ったことが、国立感染症研究所の調査でわかった。最も多かった年齢は7歳。5歳以下に多い季節性インフルエンザに比べて年齢が高く、感染研は注意を促している。

 調べたのは、7月6日~10月11日に16都道府県から報告された脳症。年齢は1歳~43歳で、最も多かった7歳児は10人だった。

 感染研は、症例を報告した医療機関に調査票を送り、回答を寄せた20症例をさらに詳しく分析した。その結果、全員に意識障害がみられ、11人に熱性けいれんや気管支ぜんそくなどの基礎疾患(持病)や既往症があった。

 このうち15人は回復したが、1人が死亡。3人に精神神経障害、まひなどの後遺症が確認された(1人は無回答)。全員がインフルエンザ治療薬を服用しており、発熱当日が3人、1日後が12人、2日後が3人と、治療薬の効果があるとされる発症48時間以内の投与が大半だった。

(読売新聞、2009年10月27日)

****** 毎日新聞、2009年10月27日

新型インフル:「元気な幼児」急変 感染死増加

 幼い子どもの新型インフルエンザ感染死が増えている。一体何が起きているのか。自治体の記録などから読み取ると--。 【國枝すみれ、山寺香】

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 新型インフルエンザ感染による10歳未満の死亡例

 26日までに、新型インフルエンザ感染により10歳未満で死亡したのは全国で6人。そのうち5人にはぜんそくなどの基礎疾患がなかった。厚生労働省のまとめでは7月28日から10月13日までの新型インフルエンザによる入院患者は2146人。10歳未満は約6割の1234人に上る。

 死亡例が3件の東京都。男児(3)は19日に38度の熱を出し、医療機関でかぜと診断された。20日、熱が39.6度に上昇、午前9時過ぎに再受診。インフルエンザA型陽性で、昼前にタミフルを1回飲んだ。自宅ではアイスクリームを食べるなど比較的元気だったが、午後5時過ぎに嘔吐(おうと)していたのを発見された。呼びかけに反応がなく救急搬送された。異変に気づいて30分で病院に着いた時には心肺停止状態。午後6時50分に死亡した。

 男児(4)は4日夜39.9度の発熱。翌朝A型陽性が判明した。帰宅途中にけいれんし、病院でタミフルを投与。だが6日早朝、意識障害から呼吸停止に。13日に死亡した。

 男児(5)は、2日朝発熱し、診療所でかぜと診断された。3日午前中に熱は40度に。タミフルを飲んだが、夕方に嘔吐、意識がもうろうとし白目をむいた状態となり、午後4時すぎに病院に搬送された。「おなかの動きが悪い」との記載が残り、タミフルが吸収されなかった可能性もある。同日夜には多臓器不全に陥り、6日午後8時前に死亡した。

 東京都福祉保健局の大井洋参事は「3例とも重症化や死亡までの経過が早く、治療で他に何かできたという選択肢は少ないのではないか」と話す。

 兵庫県西宮市の女児(8)は11日に微熱、12日朝に38.8度に上昇した。同日午後5時には意識障害がみられ、同市の病院に運ばれたが、全身状態が悪く、薬も飲めなかった。同日午後9時40分、神戸市の医療機関に転送された時にはショック状態に。直接の死因は多臓器不全と記載されたが、脳炎を疑われるケースだった。

 横浜市の男児(5)はウイルスが肺で増殖したウイルス性の重症肺炎で15日に死亡した。12日に発熱、13日にタミフルを飲んでいた。

 東京慈恵会医科大の浦島充佳准教授は「オーストラリアやニュージーランドでも、5歳未満の子どもの死亡率が最も高かった。小さい子どもは体力がない。幼いということ自体が基礎疾患を持っているのと同じくらい危険だ」と話す。

 また、季節性インフルエンザに罹患(りかん)した経験が少ない子どもは、大人より新型インフルエンザに感染しやすく、重症化しやすい。

 病状は(1)タミフル投与のタイミング(2)本人の体力(3)侵入したウイルス量などで変わる。

 新型インフルエンザは発症から12時間で感染が判明し、48時間以内にタミフルを投与すれば重症化を防げるとされていたが、死亡例ではタミフルを飲んだ時には手遅れのケースもあった。「小児科医の間には、新型インフルエンザが疑われたら、感染判明を待たずにタミフルを投与するという方針が広まりつつある」(浦島准教授)。日本ウイルス学会は重症化率が高い小学生へのワクチン接種時期の前倒しを検討すべきだと提言した。

 親がすぐ病院に連れて行くべき兆候は。インフルエンザ脳症と脳炎は、呼びかけても反応しないなど意識障害の症状が出たら危険。ウイルス性肺炎は、息が長く続かず会話が途切れる、子どもが「息苦しい、胸が痛い」と訴えるなどだ。

(毎日新聞、2009年10月27日)

****** 朝日新聞、埼玉、2009年10月27日

新型インフル 基礎疾患ない中2女子死亡

県 「重症化 兆候に注意」

 県は26日、入間市の中学2年生の女子生徒(13)が、新型インフルエンザによるウイルス性心筋炎で死亡した疑いがある、と発表した。女子生徒に基礎疾患はなかったという。新型インフルエンザによる県内の死者(疑い含む)は、基礎疾患があった川口市の67歳の女性に次いで2例目。全国では33例目。県は「重症化のサインを見逃さないよう心がけて」と呼びかけている。

 県疾病対策課によると、女子生徒は22日、38・8度の熱が出て中学校を早退し、自宅近くの診療所で受診しリレンザの投与を受けたが、翌日も熱が下がらず胸の痛みを訴えた。24日、診療所で受診し解熱剤を服用した。その後嘔吐(おうと)を繰り返すようになり、25日夜、救急車で市外の病院へ搬送したが、搬送先で死亡が確認されたという。

 PCR検査(遺伝子検査)では新型インフルエンザの感染は確認されなかったが、簡易検査で新型感染が疑われるA型の反応が出ていること、PCR検査がリレンザによる治療後であったこと、心筋炎の状況などから、県は新型インフルエンザによる死亡例と考えられると判断した。全国で10代の死亡例は女子生徒が3例目で、基礎疾患がなく死亡したのは初めてという。

 県内の1週間の新型インフルエンザの患者数(10月12~18日)は1医療機関あたり22・97人。ひとケタ台が続いていた9月までに比べ、10月に入り患者数が急増している。地域別では、入間市を含む所沢保健所管内が37・29人で最も多く、川口、越谷、朝霞市などでも流行発生警報レベルの30人を超えている。

 同課は「発熱後2日以内の受診や、健康でも容体が急変しやすい10代までの子どもは、呼吸や脈の速さ、反応の鈍さのほか、嘔吐を繰り返すといった重症化のサインを見逃さないよう心がけて」と呼びかけている。

(朝日新聞、埼玉、2009年10月27日)