ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

先天性チアノーゼ型心疾患

2011年07月14日 | 周産期医学

cyanotic congenital heart disease

● 概念

静脈血(肺動脈側)が動脈血(大動脈側)に右→左シャントするためチアノーゼを呈する疾患である。

50%以上のシャント率がある場合には、100%酸素を投与しても動脈血酸素飽和度90%以上に上昇しない。

● 診断 

全身性のチアノーゼを認める場合には、必ず心臓超音波検査を実施して診断する。

先天性チアノーゼ型心疾患の典型例:
・ 大血管転位症 transposition of great arteries (TGA)
・ 総動脈幹症 truncus arteriosus
・ Fallot四徴症の重症型 tetralogy of Fallot (ToF)
・ 三尖弁閉鎖症 tricuspid atresia (TA)
・ 総肺静脈還流異常 total anomalous pulmonary venous connection (TAPVC)

● 治療

動脈管開存により肺血流が保たれている症例(動脈管依存性チアノーゼ型心疾患)では、プロスタグランジンE投与によって、手術の適応となるまで動脈管を開存させる。

※ 動脈管依存性心疾患では、解熱薬である抗炎症薬(インドメタシンなど)を使用すると、内因性のプロスタグランジンEの産生が減少し動脈管が閉鎖する危険性があるので使用は不可である。