昔から産科の管理方法には施設ごとにいろいろなバリエーションがあり、他の施設でどんな産科管理をしているのかは全くわかりませんでした。2008年より産婦人科診療ガイドライン・産科編ができて、3年ごとに改訂されて、産科診療の統一基準がだんだん整備されつつあります。何の基準もなかった時代であれば、それぞれの施設でオレ流にやってればよかったんですが、ガイドラインが制定された現在においては、日本で産科診療に従事する者は、最低限のルールとしてこのガイドラインの最新版を順守する必要があります。
産科医療の現場では、正常の妊娠・分娩経過だと思っていたのに、突然、予期せず異常な経過をたどり始めて、患者さんの期待に反する結果となることは日常茶飯事です。もしも、診療内容に納得が得られなくて医療裁判となってしまった場合は、医療現場でその時点における『標準的医療』が実施されたかどうか?が厳しく問われます。ガイドライン制定以前<wbr></wbr>は、標準的医療が何かを、個々の事例ごとに、医療の専門家で<wbr></wbr>はない原告弁護士や裁判官が決めてましたが、ガイドライン制定以後<wbr></wbr>は、その時点における最新版のガイドラインに記載された内容が標準的医療とみなされます。<wbr></wbr>
従って、現時点では、日本のどの産科施設でも、産婦人科診療ガイドライン・産科編2011に完全準拠する必要があります。訴訟対策として自分の身を守るためにも、日々、最新のガイドラインを反復熟読吟味し、隅から隅まで完全にマスターする必要があると考えています。
とは言っても、このガイドラインもたかだか339ページですから、まだ記載されてない重要事項も非常に多いです。今後、3年ごとに改訂され、だんだん内容が充実していくものと考えられます。