cystic hygroma
【Williams Obstetrics, 23ed Edition, p356より】
嚢胞性ヒグローマはリンパ管系の先天奇形で、液体に満たされた嚢胞が後頸部から生じる。嚢胞は大きく、多嚢胞性であることが多い。典型例では、頭部からのリンパ液が経静脈に流入するのに支障をきたし、リンパ液が頸部リンパ嚢胞内に蓄積される。嚢胞性ヒグローマでは胸管が肥大し、それが心臓の形成過程に影響を及ぼす可能性がある。心奇形のリスクが増大し、一部の症例では左心低形成や大動脈狭窄のような先天性心疾患を伴う。
嚢胞性ヒグローマ例の約60~70%は、Aneuoloidy(異数性)に随伴する。第2トリメスターに診断された嚢胞性ヒグローマの胎児では、Aneuoloidy(異数性)例の75%は45,X(Turner症候群)である(Johnson et al, 1993; Shulman et al, 1992)。嚢胞性ヒグローマが第1トリメスターに診断された場合にもっと多いAneuoloidy(異数性)は21トリソミーである(Malone et al, 2005)。このMaloneらの報告では、嚢胞性ヒグローマを伴った第1トリメスターの胎児がAneuoloidy(異数性)である可能性は、NTの増大した胎児の5倍であった。嚢胞性ヒグローマは単独で起こることもあり、遺伝性の症候群(Noonan症候群など)の一部として起こることもある(Lee et al, 2009)。
大きな嚢胞性ヒグローマは胎児水腫を伴うことが多く、自然消失することは非常にまれであり、予後は不良である。それに対し、小さな嚢胞性ヒグローマは自然消失する可能性があり、その場合は胎児の染色体検査や心エコー検査は正常で、予後も良好である( Shulman et al, 1992; Traufer et al, 1994)。
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以下、嚢胞性ヒグローマのエコー写真