みんなを愛してるって感じの
いい人になりたくて
明るくってやさしそうな
人間になりたくて
おれ いろんなもの
他人から盗んで
ずるばかりやって
痛いやつのまねして
実にいいやつに化けたんだよ
ほんとのおれは ぶすで
嫌なことばっかりするからさ
嘘ばかりついて嫌われるからさ
難しいことわからなくて
みんなあっちにいっちゃうからさ
さみしくて つらくて
嘘でもいいから
いいやつになりたくて
それで いろんなこと全部やって
みごとに 清廉潔白って感じの
いいやつになったの
一生懸命 いいことするんだよ
がんばってるねって感じの
明るいことするんだよ
親切だねってこと
立派にやるんだよ
嘘みたいにいいやつなの
絶対にそんなやつになりたかったの
おれ ほんとのおれがいやだから
だけど 馬鹿だからさ
やっぱり痛いことできないんだよ
ほんとに真面目な奴は
もっと勉強をがんばって
みごとにすごいことやるんだよ
でもおれ できないの
今にもやりそうなって感じの顔して
誰かのまねばっかりやって
ごまかしてるだけなの
何にもできないのがばれたら
終わりだからさ
馬鹿はいいやつのまねはできるよ
すっごくうまいよ
だけど絶対それだけなんだよ
超えられない壁なんて見たくない
嘘ばっかり集めた部屋の中で
自分がいい奴だって世界の中で
立派な人間の顔して生きていたいんだよ
馬鹿はみんなそうさ
いいやつになりたいの
すごいやつになりたいの
おべんきょしなくちゃって言われても
そんなのいやだから
ずるいことばかりでやるんだよ
難しいことも馬鹿みたいに器用にやって
すっごくうまく化けるんだよ
呆れるほど馬鹿なんだよ
だけどだれかが
もう終わりだっていうんだ
夢から目を覚ませっていうんだ
本当の自分に戻れっていうんだ
いやだって言ったら
みんなに こいつは狸だって
言われるんだよ