破滅の壺の中で
なまぬるい死に染まりながら
ぬけぬけとまだ生きている
馬鹿な人間をひとり選ぼう
その魂を解剖し
その真実の姿を知ろう
死をまといながら生きている魂は
ほぼ活動を停止している
麻酔のかぎ薬はほんの少しでいい
何万年と馬鹿をやってきて
馬鹿の方が正しいのだとうそぶいて
すべてを馬鹿にしてきた挙句
なにもかもを失って
死ねない命を死にながら生きている馬鹿の
魂を林檎のように切り開き
中を調べてみよう
ああ 黒い無知が激しい低栄養状態をつくり
真実を探知する感受性の中枢が
痛々しいほど干からびている
愛を発揮するために必要な
光をためこむ香嚢が異常に縮んでいる
真心を構築し表現するための花脳が
ほとんど発達していない
忍耐を司る霊骨が
折れたまま 癒着している
こんな小さな感性のひだでは
風に込められた最も身近な愛の絶望さえ
感知することはできまい
異様に膨らんだ底部には
まだ愛に溶けていない暗黒の獣性が
濃く充満している
我利私欲のきつい邪臭がする
性欲だけが魚のように
暗黒の中を元気に泳いでいる
これはあまりにも未熟だ
調べるべきことを調べたら
星の糸で丁寧に切り口を縫い
ほんの少し愛の薬を塗って
元の壺の中に戻しておこう
心配はない 傷口はすぐ直る
人間は まだ
この程度なのか
今まで 一体何をやってきたのか
馬鹿か
人類は