月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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セギン・12

2015-03-05 06:54:07 | 詩集・瑠璃の籠

黒い糞の中を
金の蛆がうごめいている
遊泳する深海の美魚よ
月のごとき白い光を焚き
臭い馬鹿どもをすべて焼きつぶせ

人間を愛していた愛が
また一枚退いた
あれほど美しく見えた少女が
魂を失ったように
くすんで見える
もうあれは終わったのだ

時代の幕を抑えている者は
蝶々にひそかに使命を与え
次世代への入り口をくぐれる者に
銀の針の形をした
通行許可証を刺してゆく

人間は 選別される
寄り分けられる
神がよしというものと
否というものに
分けられる

ああ 人間世界の
熱い文化の鯨の上で
神のごとしと言われた人でも
蝶々が許可証を刺さない
あれもだめなのだ
あの人でもだめならば
すべてがだめになる

なにもかもが 砂のように崩れて
あらゆるものが 馬鹿になる
ああ美魚の光に感じて
赤水晶から生まれた蟻が
大群を作って襲ってくる
食い尽くせ 食い尽くせ
全てを 食い尽くせ
それはないほうがよい
それはないほうがよい

ないほうがよいものは
すべて 食い尽くせ
大山が窪地になるまで
巨鯨が骨片になるまで
食い尽くせ

真実の光を放つ深海の美魚よ
ソンブレロの銀の太陽が
否と言うものはすべて焼きつぶせ



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