白虹から乳をとり
半月の月光をまぜて
あの人の歌からしぼりだした
透き通った花蜜を入れ
ひとつぶひとつぶ
真珠のような
甘い愛の飴をつくる
ほんの少し
シナモンを入れるのは
それをなめた者の
心を刺激して
薄絹のような記憶を
眼球の中に蘇らせるため
ラピスラズリの沈黙を
ほんの一滴入れるのは
それをなめた者が
自ら自分をだましていた
嘘芝居の真実に
気づくようになるため
甘い月の飴が欲しいものは
わたしのところに来なさい
わたしがあの人の代わりに
作ってあげましょう
それをなめれば
一時甘い愛に包まれて
やすらぐことができる
けれどそれは
決して前と同じ飴ではない
いつまでもなめていると
舌がひりつくように
乾いてくる
あきらめたほうがいいということを
学びなさい ひとびとよ
決してあきらめないことが
いいことだという場合もありますが
嘘ばかりで作った人生の幸福は
あきらめたほうがいい
それはいずれ法則の風に溶かされて
消えてゆく幻なのです
決して追いかけてはならない
あなたがたは
決して盗んではならない神の宝を盗んで
自分の幸せを無理やり作っていたのです
白虹からとった乳と
半月の月光と
あの人の心が染みこんだ歌から
しぼりとった花蜜で
真珠のような飴を作りましょう
ほんの少し赤みがかっているのは
苺を入れたのではなく
血のような辛味料が
ごく微量混ざっているからです
あの人と同じ飴は
誰にも作れない
だがわたしはわたしなりに
あなたがたへの愛のために
飴をつくってあげましょう
真裸の真実の自分を抱きながら
その飴をなめると
あなたがたはようやく
失ったものの正体に
気づくことができるでしょう