青い砂絵で描いた空を
銀色の巨大なバクが飛んでゆく
眠りの翼を広げ
人間の汚れた夢を食べに行く
海よりも大きな魚はいないというが
空よりも大きなバクはいるのかと
思っていたら
青い空そのものが
すべて夢だったことに
人間はやっと気づいた
これはみな 夢なのか
いいや 夢というよりも
汚い百合がついた嘘でできた
あり得ない真珠を育てる
いたましい母貝のあえぎ
頭痛がミミズのように
頭の中を掘り進んでいる
何かが終わりの合図を叫んでいる
これがすべて夢だったのなら
わたしたちはどこにいけばいいのか
わたしたちはなにをすればいいのか
わたしたちは わたしたちは
何なのか
人間よ おまえたちは
強姦するように
むりやり母貝を開き
あり得ない真珠を食べた
幻の青い猿人
おまえは字を書くことができない
おまえは絵を描くことができない
おまえは歌を歌うことができない
おまえは何も知らない
自分が何もできないということを
何も知らない
銀色のバクが夢をすべて食べてしまう前に
風が教える本当の現実に向かいなさい
そこでおまえは
マッチをすって火をつけることができる
鍋に麦を入れて粥を作ることができる
野に行って若菜を摘むことができる
夢の中にいた自分を忘れるために
脳味噌を半分とって
犬に与えてしまいなさい
そうすれば耐えていくことができるだろう
何も考えてはならぬ
美しい幸福に輝いていた
高い人生の階段を上っていた
あれらはみな
嘘だったのだ