太古の波がおしよせてくる
まだこの世界に
確かに愛が成立していなかった頃の
太古の波が
虚偽で建てた人間の家の中に
押し寄せてくる
人間は誰も知るまい
大昔の昔
神が大蛸のような虚無と闘い
この世界に愛を打ち建てたことを
神がそれをなさってくださる前には
愛はまだ確かなものではなかったのだ
そこでは平然と
親が子を食い
子が親を食っていた
なにもそれで悪いことはなかった
古の夢の彼方に
かすみはててしまったはずの
悪夢が
あなたに押し寄せてくる
すべてを
嘘だけで作り
自分を救おうとした
そのために
あらゆるものを盗み
あらゆる人を傷つけた
そのような裏切り者たちが建てた
虚偽の家に
太古の波が押し寄せてくる
家の中で
腐り果てた罪の塊を洗い
それは少しずつ浄めてくれるだろう
滅亡よりも痛い
混乱がやってくる
愛がなければ
すべてはこうならざるを得ないという
エントロピーの無残が
あなたを
消去に近い混乱に落とす
夢は食べられ
見る影もない遺骸が
あなたの家に現れる
地獄になる
あなたの住む家が
地獄に
なっていく
