馬鹿者ほ
愛を見捨てて
嘘を選んだ
嘘の方が楽だからだ
忌まわしい自分の業と
正面から向き合わずに済む
嘘で作った自分を
激しくきれいに整え
これが本当の自分だと
偽った
神の悲しいため息が
吹き抜ける中を
馬鹿者は
上手に作った偽物の自分を
見せびらかして歩いている
これこそがすばらしい自分自身だと
哀れな奴め
偽りの仮面の奥で
虫のようにうごめいているものがある
それは何だ
忘れ去った記憶の中に生きている
悩ましくうごめく影は何だ
運命との約束を果たさないまま
美しい自分になれると思っているのか
嘘でごまかした自分にどっぷりと浸かり
愛のふりをして愛のつもりでいる
馬鹿者よ
そのあきれてものも言えぬ小芝居を
振り捨てよ
神はおまえのすべてを
見抜いている
それなのに
永遠に嘘で生きるつもりだと
言うのか
