レテの魔法を
われわれは知っている
放射線をあてて
癌をつぶすように
神の恵みの光を
魂にあてれば
苦い記憶は消えていく
もうかのじょは二度と
おまえたちを思い出すことはない
去ってゆく人を
引き留める者は誰もいなかった
ゆえにわれわれは
かのじょの中から
おまえたちを消し去った
かのじょはいずれ
われわれの本当の故郷に帰り
そこで新たな生き方をすることになる
自分の家に帰れば
そこに不思議なものがある
それを見てかのじょは
一体何があったのだろうと
怪訝な顔をするだろうが
それ以上考えてはならないと
われわれはかのじょに教える
そうすればかのじょは
ああ そうなのですかと
言って
かすかに悲哀を感じながらも
ほほ笑んで
われわれに従うことだろう
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