世界はすべて夢だったのだ
だが夢ではない
大国の野望が世界を支配しようとしたとき
一斉に魔法が解けて
何が人間に化けていたのかと
そういうものに
人間はなってしまった
明日を生きて行くための
金はあるが
何のために生きて行くのか
それがわからなくなった
馬鹿なことばかりやってきて
いざ 目を覚ましたら
そこは虹を閉じ込めたガラスの舞台の上だった
自分の心は誰にも見えないと
思っていたか
だがわれわれは
おまえたちの見る夢の中に
ずくずくとうずく傷のような
黒い虫が棲んでいるのにとっくに気づいていた
すべてはおまえの中の
その傷の中から生まれた幻だったのだ
だが幻ではない
永遠の双子の妹が
おまえのもとにやってくる
そして灰色の道を指さし
全てにつぐない
全てを助けてゆく
道をひとり行きなさいと
言いながら
おまえの命を計る砂時計の中に溶けてゆく
灯火を灯すための
油を持って来い
バビロンに行き着くまで
消えない灯火を持って来い
流星の町まで逃げるために
灯火を燃やす油を持って来い
愚か者よ
もうどこにも
バビロンはありはしない
見えたと思ったらすぐに消えてゆく
流星のように
それはすでに滅んでしまったのだ
逃げるところなどもうどこにもない
つぐなうことが嫌なばかりに
屁理屈をこねては逃げてきた
そんな人間が造り出すものは
どんな頑丈なものであろうとすぐに消えてしまう
永遠はあらゆる虚偽を砂のように洗い流し
無明の霧の中にいる人間たちから
水を吸いとってゆく
猛毒の酸素の風が
おまえたちの肺を撫でる前に
ガラスの舞台から降りて来い
全てを捨てて降りて来い
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