月の岩戸

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プルケリマ・11

2015-08-03 04:15:51 | 詩集・瑠璃の籠

さみしい 夜明けの町の中を
白い骨笛を吹きながら
死神が歩いている

夜の民はようやく家に帰り
昼の民はいまだまどろみの中にいる
人間生活に疲れ果てた人間たちは
つかの間の安らぎの中に
微かな笛の音をきく

人間はかつてない死を迎えている
生きているのに
死んでいるのと同じ生を生きている
そして誰もそれに気がつかない

なぜ死んでいるのか
なぜ生きているのか
それはその人生がすべて虚偽だからだ
あなたがたは今 あなたがたではない人間を
生きているのだ 

奥底の鳥籠に閉じ込めた自分自身を殺して
他人に頼って他人の人生を生きていた
あなたの真実は 
まるで十字架から下ろされたイエスの遺体のように
無残な姿となって
あなたの中に横たわっている

あなたがたは他人になりたかった
自分よりも 他人の方がよく見えたからだ
他人の皮を盗み 他人のまねをして
他人の魂になろうと
今も必死に努力している
その人生が あまりに苦しすぎて
心を癒す食べ物や品物や建物などが
人間社会にあふれるほど発生する

だが
そうして人間の欲望が造った文明は
空気を抜かれる風船のように
次第にしぼんでいく
あなたがたはまだ気づいていない

地球霊的天然システムは
多くが人類を愛する事をやめたのだ
一度は痛い目にあわなければ
人間は永遠に真実の愛をわかることができないからと

かわいそうだが
失うものはたくさんある
余計な贅沢は控え
心の準備をしておくことだ

人類はこれから
衰退してゆく
地球のバランスをとるために
神々はもうすでに活動なさっている

死神の骨笛は 静かに町の中を這い
眠っている人の耳の中に
白く細い蛇のように入って行く
そしてささやきであなたがたの鼓膜を微かにたたくのだ

もうやめなさい
もう目をさましなさい
繰り返しささやくその声は
水のように静かにあなたの脳髄に染みこんでゆく
いずれあなたがたは
人類社会の呆れた愚かさに
自ら気づくことができるようになるだろう

間違ったことをしていたと
素直に認めることができる者は
次の段階に進めるだろう
しかし未だにそれができない者は
奈落に突き落とされるだろう

さみしい 夜明けの町の中を
白い骨笛を吹きながら
死神が歩いている
朝の光が射す寸前に
死神は消える
人々は目を覚まし
何か変な夢を見ていたような気がして
おなかのあたりが
妙に気持ち悪いのだ




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