月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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セギン・7

2014-12-03 07:09:01 | 詩集・瑠璃の籠

山が 動いている
鼠一匹も驚かさないほど
静かに
山が 動いている

それは 虹よりも透き通った
光を吐く静かな噴火だ
音もしない
石も灰も火も噴かない
風も動かない
これを霊的噴火という

人間の馬鹿さ加減にあきれた
山が
とうとう怒ったのだ

雨のように浴びている贋金に
埋もれた大統領のミイラを
何かがぶちこわしにいく

何万の観衆の視線を浴びて
次の球を握っている投手の人形を
何かが握りつぶしにいく

夜から 昼へ
嘘から 真へ
糞から 玉へ
人々の魂に鍵をさして
全てを裏返しにいく

山が 動いている
あまりにも美しい 山が

人間が 何もしないので
とうとう 立ち上がったのだ



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