ちいさな青い鼠の影が
おまえの運命の中に
忍びこむ
おまえは おや?と
何かに気づいてふりむくが
そこにはもうなにもない
印象派の画家が
ぞんざいに描いたような
ちいさな家の中に
おまえは住んでいるが
それがいずれ
目に見えぬ光の油に溶けてゆくことを
おまえはまだ知らない
滑稽な化粧をした道化師が
林檎のような丸い鼻を鳴らしながら
風の中を通り過ぎてゆく
通り過ぎざまにおまえを指さして
言う
おーい こいつまだ知らないぞ
まだやっているぞ
おまえは不快に感じて
窓をぴしゃりと閉めるが
そのとき家の柱が
きしりとかすかに傾く音を聞く
もう二度と会えないところに落ちるまで
おまえはそこにいるのだね
ならば無理にとは言うまい
すべてはおまえの決めたことだから
おまえの背中の影に
薄青い鼠の影が混じっている
まるでレントゲン写真に写った
癌の影のように
運命の風向きが変わる音が
おまえの影の中から聞こえる
どんなことになっても
すべては自分の責任だと
ちゃんと言うことができるかね
いつか 鼻の赤い道化師が
おまえの運命を世界に言いふらすだろう
それでもおまえは
そこにいたいのだね
昔から好きで観ていると何となく落ち着くんです
独特の色使い構図不思議な表現
想像をはたらかせます
これからも毎日upしていきますので、お楽しみください。