月の岩戸

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ヴェガ・15

2014-04-03 04:16:45 | 詩集・瑠璃の籠

さあ
いっしょにいってあげよう
ここは 昔
あの人が
十字架を背負って歩いた道だ

血の跡があるね
何かをひきむしった跡があるね
風が泣いているね
空は低く垂れてきそうだ

こんなことくらい
天使ならば
耐えられると思っているかい

そうではないよ
苦しいことを感じる心は
高い心ほど
深くなるのだ

あの人はね 本当はもう
あのときのことは
ほとんど覚えていないのだよ
神に
忘れさせてもらったのだ
あなたがたを愛するために

もう あの人は
あの時のことを
はっきりとは思い出すことはないのだよ

それは 本当は
悲しいことなのだよ
怨んではくれない
憎んではくれない

あなたがたは 本当は
とても大切なものを失ったのだ

でも
憂えてばかりはいけない
はてしない道も
ゆくことに楽しみがあると思いなさい

あの人は あそこにいるよ
そしてわたしは
あなたの となりにいるよ

花を見ながら
鳥を呼びながら
風に歌いながら
いっしょに行こう



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1 コメント

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絵の解説 (てんこ)
2014-04-03 04:19:53
ハンス・メムリンク、「最後の審判の祭壇画」部分、15世紀フランドル、初期フランドル絵画、ブリュッゲ派。
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