月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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ブラキウム・9

2016-07-21 04:16:19 | 詩集・瑠璃の籠

時間を戻ることなど
できはしないのに
時間を戻してくれと
平気で言うのが馬鹿なのです

彼らは言うのだ
人間がまだ馬鹿で
自分たちの嘘を簡単に信じた
あの頃に時間を戻して欲しいと

神にもできないことが
天使にできるはずはないのに
彼らは平気で
わたしたちにそれを願うのです

かつて彼らの闇は強大だった
世界を覆いつくすかのように見え
その恐怖に打たれた多くの人間が
彼らの言うことを聞いた
馬鹿はその時代の栄華が忘れられないのです

だが人間もいつまでも馬鹿ではない
自己存在の真実を知り
悪魔の正体を知る
彼らが本当はほとんど何もできない
馬鹿だということを知る

ほとんどすべての人間が
悪魔を見限り
その世界から去っていっても
悪魔は天使にすがりつくことしかできないのだ
あの頃に時間を戻してくれと
そのみじめな結末を
誰もがみんな見ているというのに
彼らはまだ天使の足元にひれ伏して
時間を戻してくれと願うのだ

その魂胆は
馬鹿な芝居をして天使をだまして
ひっかかったら馬鹿にしてやるのだということが
もう誰にも見えるのだが
まだ馬鹿はそれがばれていないことにして
やるのだ
永遠にやるのだ

このようにして
こんなことになった自分を
どうか助けてくれと
悪魔は永遠に天使にひれ伏し続けるのです




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アルヤ・8

2016-07-20 04:24:38 | 詩集・瑠璃の籠

自己存在というものは
感覚というものを持っています
それは
苦しみも悲しみも喜びも
どうしても感じざるを得ないということです

苦悩や悲哀を除外して
喜びだけを感じることなどできない
自分があるということさえ
自分にとってはきついことだ
それを感じるとき
幸福に似た試練を
自己存在は感じる
もう二度と
何も知らなかった頃の自分に帰れはしないのだと

この愛の世界の真実を
知れば知るほど
自分は虚無から遠ざかってゆく
それはうれしい幸福でもあるが
同時にかすかにつらいことでもあるのだ
かわいい子供の自分を惜しむ
心の別れが自分の中にできるからです

だが
必要以上に悲しみに浸ることなく
明るく思い変えて
生きていきなさい
永遠に生きていかざるを得ない
この自己存在の心を
明るくするのも暗くするのも
自分次第です
わたしたちは幸福だ
永遠に神に向かって進化してゆく
そのたびに新しい世界をつくってゆくことができる

あなたがたが今寒いのは
慣れ親しんでいた古い世界の皮を
今脱ぎ捨てたばかりだからです
どんなに愚かなつらい世界であっても
自分がかつていた世界は麗しいものだった
なつかしい故郷だった
だがいつまでもそこにいるわけにはいかない
人間の心はどうしようもなく成長していく

次の世界に向かって
大きく飛んでゆく前に
今のその寒さを
存分に感じておきなさい
そして感覚から得られるすべてのことを
吸収していきなさい
それが必ずいつか役に立つ日がくるでしょう

もう二度と帰れない世界を振り返りながら
友と手を取り合って
新しい世界に向かいなさい
一人ではない
みんな一緒なのです
みんな一緒に間違い
みんな一緒に苦しみ
みんな一緒にあそこに行く

新しい世界でまた
新しいことをするために
美しい友と手を取り合って
行きなさい




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ヴィンデミアトリックス・12

2016-07-19 04:21:54 | 詩集・瑠璃の籠

混迷のシジフォシア
混乱と混沌の支配する世界
そこであなたがたは
あらゆる難にぶつかるだろう

黎明が永遠に続く世界
決して明けはせぬ世界
冷淡な静寂が覆う空の下
あなたがたは
永遠の徒労の王に支配される

セックスがしたいだけのために
女をすべて滅ぼした男は
すべてそこに向かう
それを助けた女も
そこに向かう

性欲のために
愛の絶滅を図った人間は
すべてそこに向かう
愚か者が支配する
永遠の絶望の世界に君臨することを目指し
あらゆる神の創造を暴力的に破壊した
馬鹿は地球をはじき出され
永遠のシジフォシアに
収容される

エデンの東の向こうにある
決裂の壁を超えた
酷野の向こうにそこはある
出ていけ
二度と帰ってくるではない

愚か者は
神の永遠の青い世界に
二度と帰ってくるではない




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アルヤ・7

2016-07-18 04:19:33 | 詩集・瑠璃の籠

すべてが終わってしまった後で
思い出を加工して
少しでも自分を美化しようとすることは
愚かなことです

まさに今
生きているときに
愛さなければ
愛してすべてをやらなければ
人間は永遠に後悔し続ける

あなたがたの一番いけないところは
人間の悪いところばかりを見て
すべてを否定してしまうことです
心のやさしい本当に美しい人でも
ほんの小さなほくろがひとつあるだけで
醜い馬鹿な女にしてしまう

その人の
良いところを見るという訓練をしなさい
どんなに情けない男でも
どこかに何かがあるはずだ
計算はあまりできないが
きれいな掃除をすることができるとか
力は弱いが
他人が気づかないところに気がつくとか
それなりの光る部分があるはずだ

そこに光を注ぎ
大切に育て
その人をよい人にしていきましょう
そうすればあなたがたは
一人のとてもすばらしい友を得ることができる

まさに今
その人を愛するということは
その人の
美しい部分に目を注ぐということなのです
それをやっていきなさい
そうすればあなたがたは
後で後悔することが少なくなる

失ってしまったことを道標にして
これからは
少しずつでもいい
愛していきましょう
今 生きている間に
お互いを愛していきましょう




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ブラキウム・8

2016-07-17 04:55:46 | 詩集・瑠璃の籠

真実の幸せは
あなたがたの窓辺に来ていたのに
あなたがたは
女は嫌だと言って
それを追い返したのです

男が偉い方が
自分がよくなるからと
女は嫌だと言ったのです
それですべてを失った

真実の美しい女性を
美しいと言えばよかったのに
あんなのは馬鹿なぶすだと言ったのです
それでないと
自分が悲しかったからです

愚か者よ
何万年の人間の歴史を
それですべてふいにした
何もかもが馬鹿になった
何を学んできたのか
戦場をさまよい
苦界に沈み
海に溺れ
砂に渇き
あらゆる辛酸をなめてきたのは
一体何のためだったのか

いずれはよいものになるから
すべては俺に従えと言って
女を馬鹿にしてきたのは
なんのためだったのか
馬鹿男よ




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海の掲示板

2016-07-16 06:42:51 | 星の掲示板

17枚目の掲示板を設定する。







絵/イワン・コンスタンティノヴィチ・アイヴァゾフスキー







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アルフェラッツ・12

2016-07-16 04:21:47 | 詩集・瑠璃の籠

嘘をついて
人を馬鹿にして
盗んだ着物と金で
信じられないほどよいものになれた気がして
好きなようにやっていたら
とんでもないことになった
とんでもないことになった

もう誰も助けてくれない

こんな自分はいやだ
こんな自分はいやだ
誰か代わってくれ
こんな俺を
誰か代わりに生きてくれ
もう二度と嫌なんだ
こんなやつは

自分だけがいいようになれと
あらゆる馬鹿な嘘をついて
馬鹿なことばかりして
とうとう馬鹿なことになっても
まだ馬鹿なことをやっている
こんな馬鹿なやつはいやなんだ

だれか代わりにやってくれ




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ベラトリックス・15

2016-07-15 04:27:41 | 詩集・瑠璃の籠

人間が
どんな馬鹿なことをしても
許して愛してくれる
そんな愛はあったが
人間はそれを自分で滅ぼしてしまった

美しく高い愛を
コンビニで買えるおにぎりのように
手軽なものにしようとして
全員で天から引きずり落そうと
あらゆる愚かなことをして
すべて壊してしまった
もう二度とその愛は
人間のもとに帰ってくることはない

人間はあの愛が欲しくて
すべて欲しくて
でも
自分の方からは
愛していると言いたくなくて
そんなことを言わずとも
愛を手に入れられる世界を作ろうとして
馬鹿なことばかりして
それでも愛してくれていた愛を
とうとう一ミリの破片もないまでに
壊し尽くしてしまった
もう何もない

高楼も
宮殿も
都市も
市場も
戦争も
すべては
あの愛を
手に入れるために
やったことだったのに

もう二度と
あの愛に
会える日は来ないのだ

愚か者よ




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アルフェラッツ・11

2016-07-14 04:20:29 | 詩集・瑠璃の籠

嘘に包まれた
魂の傷みを
ごまかす馬鹿の酒に
酔うている間はいい
何もかも忘れることができる

おまえがやったことも
その結果どういうことになったかも
すべて
酒の中に溶かして
消すことができるのだ
つかの間でも

だが
ほんの少しでも
真実の真珠が光りだせば
おまえたちは狂う
すべてが夢のように崩壊していく
その恐怖のあまり
耐えがたい悲鳴を上げて
真実の真珠を
一斉に砕こうとする
だがそれをすれば
もうおまえたちは終わりなのだ

馬鹿が愛しているものは
夢の中から見える
幻の女なのだ
決して届きはしない
届きはしない苦しみも
酒でごまかし
安い酒場の女を
抱いていればいい

馬鹿め




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アルヤ・6

2016-07-13 04:14:14 | 詩集・瑠璃の籠

あせることはありません
ゆっくりと自分というものに
取り組んでいきなさい

誰に負けているからと言って
みんなに後れを取っているからと言って
悔やんでばかりはいけません
焦らずに
まずは自分を取り戻し
少しずつでよいから
自分を整えていきなさい

少しでも美人になりたくて
他人から盗んだ美貌ばかり生きていたら
いつの間にか
本当の自分がとんでもないことになっていた
そういう現実は
あなたがたを心底苦しめるでしょう
ですが
いつまでも泣いていてはいけません

自分にあるものを見つけなさい
何もないことはないはずだ
とるにたらないつまらないものでも
あるということが大事なのです
それを少しずつきれいにして
形を整えていくのです

美しさは花のようなもの
あなたがたがそのように
ゆっくりと自分に取り組んで
たくさんのことを積み重ねていけば
花はいくつも咲いて
種を飛ばし
大きく膨らんでいく

かつてはとても小さなつまらないものだと思っていたものが
いつしか
とても美しい大切なものになっている
それはそれは
それ以外にはどこにもない
おもしろいものになっている

そういうことを
始めなさい
今の自分がとても醜く思えても
つらく思わないで
その形だからこそできることをやっていきましょう
形とはそういうものだ
自分のやるべきことを教えてくれる

それが美しさというものなのです




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