五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

寅さんの逃避と笑い

2014年05月18日 | 第2章 五感と体感
毎週土曜日に映画「寅さん」を放映しており、昨年あたりから土曜日の19時からは寅さんタイムとして結構な確率で観ています。

日を置いて観ると「寅さん」パターンに気付かなかったりするのですが、毎週立て続けに観る機会に恵まれたおかげでストーリーのパターンを普遍性をもって楽しんでいる私がいます。

映画は、必ず寅さんの夢で始まります。
大抵、寅屋の皆さんが登場する壮大なストーリーです。
夢のまた夢を描き、そこで寅さん自身がパタッと目が覚めます。

寅屋の家族やとなりのタコ社長がそろそろ寅さんが帰ってくるんじゃないか、という噂話をしていると、そこに偶然を装う様に寅さんが帰宅。そこでの家族の迎え方が気に入らないと寅さんがスネるシーンはから映画は展開していきます。

日本の名所と祭で商売しながらも寅さんは、いつもお金を持っていません。
妹のさくらはいつもお兄ちゃんの心配をし、どこか憂いげな表情がこまった兄に対する心情を表わし、とても素敵です。
そして、映画には必ず旬の女優さんが登場し、すっかり恋をしてしまうわけです。
とはいえ、必ず恋した女性には、好きな男性がおり、その仲を取り持ってめでたしめでたし、となるわけです。

でも、寅さん自身は、取り持った二人がハッピーエンドになる直前に、また旅に出てしまうのです。

解決しなくちゃいけない問題に対する無意識の逃避は、寅さんの防衛機制そのものです。
相手がどんなに寅さんを好きになっても、寅さんは旅を止めません。
両親を幼い頃に亡くし、おじちゃんとおばちゃんに育てられたものの、小さな頃から親の愛に飢えて育った寅さんは、妹さくらを思いつつも、旅という逃避を通して、人生を重ねていくのです。

人情もので暖かい映画ではありますが、愛の孤独感に苛まれた一人の大人の物語でもあるのです。

寅さんを演じる渥美清さんの表情は、手放しで喜んでいる表情になることはありません。
喜びの表情に必ず影があるのです。
そこが観ている者の人情にピタリとくっつくのかもしれません。

寅さんを演じている渥美清さんなのか、寅さんが渥美清さんそのものなのか。。。
そんな思いをふとよぎらせながらも、単純に笑える映画であることは確かなのです。

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