2023年春の障害王者決定戦・第25回中山グランドジャンプ(J・GⅠ 芝4250m 10頭立て)が15日、中山競馬場で行われました。J・GⅠ通算9勝の「絶対王者」と言われたオジュウチョウサンが引退。ここから障害界の新たなスターが誕生するのか期待が高まります。昨年末の中山大障害を制した③ニシノデイジーをはじめ、ペガサスジャンプステークスを勝った⑥ビレッジイーグル、障害オープン3連勝中⑧テーオーソクラテス、イルミネーションジャンプステークス覇者⑩ミッキーメテオ、中山新春ジャンプステークスを制した⑦ダイシンクローバー、九州産馬②イロゴトシ、①ジューンベロシティ、④スマートアペックス、⑨クリノオウジャ、⑥エミーリオの10頭が参戦しました。
スタートで1番人気のニシノデイジーが出遅れるという波乱の幕開け。最初の5号障害をビレッジイーグルが先頭で飛越。ニシノデイジーも最後方でジャンプ。1周目のスタンド前に差し掛かり、ビレッジイーグルが先頭、2番手テーオーソクラテス、3番手スマートアペックス、クリノオウジャとミッキーメテオが4,5番手で並び、イロゴトシ6番手、7番手ダイシンクローバー、8番手ジューンベロシティ、9番手エミーリオ、ニシノデイジーは最後方追走。
1,2コーナー中間の障害→2コーナーのバンケット→向正面のところでかなり縦長となり、いよいよ大障害コースへ。最初の難所・大竹柵障害をビレッジイーグルが先頭で飛越すると、ミッキーメテオとテーオーソクラテス、その後も続々と飛び越え、ニシノデイジー8番手、最後方のエミーリオまで全馬クリア。
逆回りコースとなり、ビレッジ先頭、2番手ソクラテス、メテオ3番手、イロゴトシ4番手、5番手アペックス、6番手オウジャ、7番手ダイクロ、8番手デイジー、9番手ジュンベロ、最後方にエミーリオという展開。
3コーナーの坂を過ぎて2度目の大障害コースに入るところでソクラテスが外に膨らむ。デイジーも5番手までポジションを押し上げた。10頭は2つ目の難所・大生垣障害に挑み、ビレッジが先頭で飛越すると、ソクラテスもメテオ、イロゴトシ、デイジーと続々飛越し、後方のジュンベロとエミーリオも無事に飛び越えた。
順回りに戻り、2号障害の手前で、先頭のビレッジイーグルから5番手ニシノデイジーまでの差が凝縮。2号障害でクリノオウジャが少し躓くも大丈夫。
3号障害を飛び越え、2コーナーのバンケットから外回りの芝コースへ。芝コースでは3つの置き障害が待っている。向正面のハードル障害で、今度はテーオーソクラテスが先頭に上がり、ニシノデイジーが3番手に浮上。残り800mのところでイロゴトシがスパートを仕掛け、9号ハードル障害の手前でソクラテスを抜いて先頭に躍り出る。ビレッジは4番手に下がり、デイジーは3番手を追うが苦しそう。
先頭を行くイロゴトシは2番手との差をぐんぐん拡げて最後の直線コースへ。最終障害を無事にクリアすると、あとはゴールに向かって走るだけ。イロゴトシは完全に独走し、2番手争いではテーオーソクラテスが2番手を守るが、ミッキーメテオが残り100mでソクラテスを抜き去る。さらにダイシンクローバーも追い上げる。それらを尻目にイロゴトシが大差をつけて先頭でゴールイン!イロゴトシが障害界の新チャンピオンに輝きました。
【中山グランドジャンプ 全着順】
1着②イロゴトシ 4分54秒1
2着⑩ミッキーメテオ 大差
3着⑦ダイシンクローバー 1馬身1/2
4着⑧テーオーソクラテス アタマ差
5着④スマートアペックス 2馬身1/2
6着①ジューンベロシティ
7着⑤ビレッジイーグル
8着⑥エミーリオ
9着③ニシノデイジー
10着⑨クリノオウジャ
【払戻金】
単勝 ② 1,710円
複勝 ② 320円 ⑩ 180円 ⑦ 260円
枠連 2⃣-8⃣ 3,870円
馬連 ②ー⑩ 3,520円
馬単 ②ー⑩ 9,950円
3連複 ②-⑦-⑩ 7,760円
3連単 ②-⑩-⑦ 78,090円
ワイド ②ー⑩ 1,030円 ②ー⑦ 1,290円 ⑦-⑩ 640円
雨の中、重馬場で行われた今年のグランドジャンプは、最終周回の3コーナーでスパートを掛けたイロゴトシが、先頭に立ってから2番手との差をどんどん拡げ、最後は2着に3秒差をつけての大勝を果たしました。2着には単勝2番人気のミッキーメテオ、3着にはダイシンクローバーが入りました。
4番人気のテーオーソクラテスは4着、3番人気のビレッジイーグルは7着。単勝オッズで1.8倍と圧倒的1番人気だったニシノデイジーは、スタートで出遅れた後、徐々にポジションを上げていきましたが、終盤に失速してしまい、ブービーの9着に終わりました。
勝ったイロゴトシは、障害転向4戦目で重賞初制覇。鞍上の黒岩悠騎手はデビュー22年目で悲願のGⅠ初制覇、牧田和弥調教師も厩舎開業13年目でGⅠ初勝利。イロゴトシの父・ヴァンセンヌ産駒もJRA重賞初勝利となりました。
父・ヴァンセンヌ、母・イロジカケの間に生まれたイロゴトシは、熊本県の本田土寿牧場出身。熊本産馬のJRA重賞制覇は、昨年の北九州記念のヨカヨカ以来ですが、GⅠ競走は初制覇。(ヨカヨカも同じ牧場で生まれました)九州産馬は過去にコウエイトライやテイエムトッパズレといった障害重賞で活躍した馬を輩出。イロゴトシは今年1月に障害レースに転向し、わずか4カ月で障害界の王者に輝きました。オジュウチョウサンでも障害GⅠ初勝利まで10戦かかったので、とても早い数字じゃないかと思います。イロゴトシにはオジュウの後継者を目指して頑張ってほしいものです。