自民党の若林正俊議員が、3月31日の参議院本会議での採決時に席を外していた隣席の議員の投票ボタンを代わりに押したという問題が発覚し、2日午前にその責任をとって議員辞職を表明しました。前代未聞の「替え玉投票」で与野党から厳しい批判が続出しています。
問題が起きたのは、31日の本会議で2010年度のNHK予算などを採決する際、若林氏が隣の席である青木幹雄議員のボタンに「賛成」を押したというもの。青木氏はその時は議場にいなかったそうです。その翌日、民主党が「国会議決を不正行為にゆがめた前代未聞の事案だ」という批判から懲罰動議を提出。その際若林氏が二重投票している姿が撮られた証拠写真が持ち込まれました。参議院の投票ボタンは98年に導入され、これまでに投票ボタンに関する懲罰動議は一度も無くて、今回が初めてとなります。
そして一夜明けた2日、若林氏が江田五月参議院議長に議員辞職願を提出、その後の本会議で全会一致で許可。会見で事実を認めて「魔がさしてしまった」と謝罪、青木氏がすぐ戻ってくるだろうとボタンを押したと釈明しておりました。一方の青木氏は若林氏に投票依頼はしていないと否定。
若林氏は83年の衆議院選挙で初当選した後、90年の総選挙で1回目の落選。その後93年の総選挙で復活当選するも再び落選してしましました。その2年後の1998年に参議院に鞍替えし、現在まで2期務めています。2006年の安倍内閣では環境大臣で初入閣を果たすと、農林水産大臣を3度任されました。前職大臣が不祥事で自殺&辞任して引き継いだことから「ミスターリリーフ」と呼ばれておりました。自民党が野党に転落した2009年には、自民の首班候補に選ばれましたが、鳩山氏には及びませんでした。そんな若林氏ですが、今年7月の参院選には出馬せず政界引退を表明しております。
「1人1票」が原則である議会の採決で、二重投票も10回繰り返したのは大問題と言えるでしょう。青木氏も何のために席を外したのか全く分からない。たぶんトイレで用を足していたんじゃないの?採決の時に抜け出してはいけません。閣僚や与党から「信じられない」、「歴史的汚点だ」と批判され、江田議長も若林氏を「バカ」と罵倒。身内である自民党からも「閣僚を務めた人が『代返』するなんて情けない。議員の資格なんてない」とバッサリと切り捨てました。長男の健太氏が父の後継者として自民公認で出馬予定ですが、バカ親父の不祥事が大きく影響して苦戦は避けられないでしょう。
民主党の迷走で反撃に出たい自民党ですが、谷垣総裁の頼りなさ、執行部のゴタゴタ、鳩山邦夫氏・与謝野馨氏・舛添要一氏が揃って新党結成示唆で分裂危機、そして今回の若林氏の代理投票疑惑とあらゆる問題が様々。個人的には総裁より存在感が大きいと思う参院幹事長・谷川秀善さんの「ぼやき」が止まらなさそうだ。自民党は本当に大丈夫なのか?