東日本大震災の復興支援チャリティーマッチ「サッカー日本代表 VS Jリーグ選抜」が29日、大阪・長居スタジアムにて行われました。本来ならば国立競技場でニュージーランド代表との試合が組まれていましたが、震災の影響により中止。そこで急きょJリーグ選抜との試合に変わり、開催地も長居に変更。代表からは長谷部誠、本田圭佑、長友佑都ら海外組が全員招集され、Jリーグ選抜は名古屋グランパスのストイコビッチ監督が指揮を執り、中村俊輔や三浦知良、田中マルクス闘莉王、中澤佑二などが選出されました。「がんばろうニッポン!」を合言葉に行われたこの試合、被災地のために選手たちが全力プレーを披露しました。
両チームのスタメンはこちら
日本代表(SAMURAI BLUE)
GK 1 川島永嗣(リールセ)
DF 2 伊野波雅彦 (鹿島)
DF 15 今野泰幸(FC東京)
DF 22 吉田麻也(VVVフェンロ)
MF 5 長友佑都(インテル)
MF 6 内田篤人(シャルケ)
MF 7 遠藤保仁(ガンバ大阪)
MF 17 長谷部誠(ヴォルフスブルク)
FW 9 岡崎慎司(シュツットガルト)
FW 11 前田遼一 (磐田)
FW 18 本田圭佑 (CSKAモスクワ)
Jリーグ選抜(TEAM AS ONE)
GK 1 楢崎正剛(名古屋)
DF 4 田中マルクス闘莉王(名古屋)
DF 5 駒野友一(磐田)
DF 7 新井場徹(鹿島)
DF 22 中沢佑二(横浜FM)
MF 14 中村憲剛 (川崎)
MF 18 小野伸二 (清水)
MF 40 小笠原満男(鹿島)
FW 9 佐藤寿人(広島)
FW 10 梁勇基 (仙台)
FW 13 大久保嘉人(神戸)
ザックJAPANは1月のアジアカップの優勝メンバーが主体で、3-4-3システムを初めて導入。FWは岡崎・本田・前田の3トップ。対するJ選抜は南アフリカW杯の出場メンバーが中心。ベガルタ仙台の司令塔・梁勇基、かつて仙台でプレーした佐藤寿人、岩手県大船渡市出身・小笠原がスタメン入り。
キックオフに先立ち、日本代表・長谷部とJ選抜・中澤の両チームの主将が挨拶を行い、長谷部選手は「いつも大きな力を与えてくれたのは皆さんの声援でした。今度はボクらが応援する番です」、中澤選手は「僕は信じています。乗り越えられない困難などない」と被災者たちにメッセージを送りました。試合開始前には犠牲者たちに黙とうがささげられました。
日本代表のボールで始まった前半、立ち上がりから日本代表が主導権を握り、前半3分に本田がドリブルでペナルティエリア内に進入するも相手にクリアされる。前半7分、J選抜の佐藤がエリア手前の中央の位置から左足のミドルシュートを放ちますが、代表GK・川島がパンチングでクリア。いきなりファインセーブ!9分、日本代表の長友がロングパスから左サイドを突破するも、クロスは前田に合わず、相手にクリアされる。迎えた14分、日本代表は本田が中村憲剛に倒されてFKを獲得。ゴールほぼ右寄りの位置からのFKを遠藤が直接決まった!ゴールを決めたあと、選手たちがベンチ前に集まり、外した喪章を天に掲げました。
日本代表は先制点を取った後も勢いは止まらず、17分に内田がボールを奪うと、本田が中央でドリブルを仕掛け、左サイドを駆け上がる前田にパスを出したが、前田がシュートを打つ事が出来ない。ここは中澤が意地のディフェンスを見せた。19分、本田のスルーパスに岡崎が抜け出し、最後は右足で流し込んで2点目。
2点を追いかけるJ選抜は、23分に小笠原が左サイドでクロスを上げるもGKに阻まれ、26分のFKは小野が蹴り込み、中澤が頭で折り返すもダメ。36分、エリア手前でFKを得た日本代表は、本田が狙うも大きく外してしまう。J選抜は38分過ぎに立て続けにFKを獲得し、左サイドでのFKを梁勇基が蹴り、闘莉王が頭で合わせるも枠に行かず。39分には小笠原が右サイドで蹴るも決まらず。前半は日本代表が2点リードで終えた。
後半、両チームともキックオフ時に選手を大幅に入れ替え、日本代表は李忠成(広島)、阿部勇樹(レスター)、槙野智章(ケルン)、松井大輔(グルノーブル)ら8人が投入され、J選抜は中村俊輔(横浜FM)、川口能活(磐田)など4人が入ります。後半開始早々、J選抜の俊輔が遠い位置からシュートを狙うも左に外れ、日本代表は乾貴士(セレッソ大阪)→松井と繋ぎ、乾がスルーパスを出すも李が合わせられず。
J選抜は後半10分から反撃が始まり、後半12分に原口元気(浦和)がワントラップからシュートを放ったが、相手DFにブロックされる。後半14分には俊輔の右サイドのクロスに闘莉王が飛び込むも届かない。16分には駒野のクロスがあわやゴールに吸い込まれそうになるも、バーを越えて行きました。
後半17分、J選抜は三浦カズ(横浜FC)、関口訓充(仙台)、平井将生(ガンバ)など5選手が投入され、対する日本代表も岩政大樹(鹿島)、東口順昭(新潟)が入りました。カズがピッチに入ると場内から歓声がわき上がり、ゴールを期待するチャントが流れました。
26分、李忠成がGK・川口との1対1の場面でシュートを放つも、川口がファインセーブで3点目を阻止。その1分後、敵陣でボールを奪った松井がドリブルから左足でシュート。しかしこれは川口の正面。29分、J選抜は原口→平井と繋ぎ、左サイドにいた関口がゴール前で抜け出して右足で流し込もうとするも、ボールは右に逸れてしまった…。絶好のチャンスだっただけにもったいない!決まれば被災地を勇気づける1点だったのになあ。
そして迎えた後半37分、J選抜・川口のロングフィードキックから闘莉王が頭で落とすと、カズが中央から抜け出し、最後は右足を振り抜いてゴール!その直後にカズダンスを披露!カズのゴールを楽しみにしていた長居のサポーターも拍手大喝采!後半43分には自らボールを奪ってドリブルを仕掛ける場面も見せました。試合は2-1で日本代表が勝利しました。
いや~今回の試合は、普段の代表戦とは全く違い、楽しく見られてよかったです。遠藤選手と岡崎選手のゴールもあれば、44歳とは思えないようなカズの気迫あふれるプレーも見られました。遠藤選手のFK弾は、南アフリカW杯のデンマーク戦を思い出すような美しいものでした。楢崎選手も反応したけど一歩及ばず。「小学生時代に阪神淡路大震災を経験した」とACのCMで明かした岡崎選手は、中澤選手と闘莉王選手を振り切ってみせました。これは本当に岡崎らしいゴールでした。
後半から出場したカズは、大いに会場を沸かしてくれましたね。ゴールシーンやカズダンスをリアルタイムで見たのは本当に久しぶりですよ。この大一番でしっかりと決めてくるあたりが「キング」たる所以だと思います。サッカー界の千両役者はやっぱり見せてくれるわぁ。被災者たちもカズのゴールで感動したんじゃないでしょうか。
この試合に参加した選手の皆さん、ザッケローニ監督、ストイコビッチ監督、そしてチャリティーマッチを主催した日本サッカー協会には本当に感謝したいです。サッカーって本当に素晴らしいと改めて感じました。「日本代表VSJ選抜」の試合を今後も継続して欲しいと思います。スポーツ界に明るい話題が続くと、日本も必ず復活すると思います。本当にありがとう!