どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

日本のいちばん長い日、鑑賞(3)

2015年08月27日 21時41分30秒 | 映画
昨日観に行った原田眞人・松竹版、二度目の鑑賞についての感想です。

印象に残ったのは、登場人物の東條英機・下村宏・佐々木武雄、そして小道具としての「水」。

中嶋しゅうという俳優が、物凄い怪演ぶりを発揮!

なにしろ作品の冒頭からドアップで出てきますしね(^_^;

鈴木内閣発足に不服を述べたり、陸軍省に乗り込み青年将校に戦争継続を焚きつけてみたりした挙げ句、天皇に謁見しサザエの殻が陸軍だと変な例えをし、生物学専門の天皇にツッコミを入れられ凹んでしまうという(^_^ゞ

中嶋さん本人もこの役を抜擢されたことに驚いたそうですが、「好きに大きく動いてください」と言われ、「これは勝負だな!」と受け止め、それが画面にビリビリとしたスゴイ迫力を生み出していました。最近は舞台が多く、映画は久しぶりだそうですが、彼の演技は非常に印象に残りました。適役だと思います。

東條とは逆に和やかな空気を醸し出していたのが、情報局総裁の下村宏。演ずるのは久保酎吉。

明治・大正・昭和と今で言うメディア畑の人で、玉音放送を着想し、実現させたプロデューサーとも言える人物。

でも本作ではあまりそういう部分は強調されず、内閣の中で世間話をしたり、やたらと「遺言状は書きましたか?」と色んな人に問うてまわるという面白いオジサンとして描かれています(^_^)

宮城事件・反乱の兵に監禁された折、その兵士に向かって遺言状の話しをする始末には笑ってしまいました(^_^;

悪い意味で印象に残るのは佐々木大尉演ずる松山ケンイチ。

クーデターに呼応する形で横浜からトラックで乗り付け、首相官邸などを銃撃し、焼き討ちまでしてしまうのですが、松山さん、この役の意味するところが判ってないんじゃないかと思いました。友情出演らしいけど、なんでこの人なの?って感じ。

漫画っぽく悪目立ちし、作品の流れをぶち壊しにしていた感がありましたね。

佐々木役は、東宝版の天本英世さん(我々世代としては仮面ライダーの死神博士役が有名ですね)の方が狂気を含んでいて遙かに素晴らしいと思います。

さて、最後に小道具としての「水」。

これは全編通して、コップの水を呷るシーンが多く、とても印象的でした。

特に鈴木貫太郎は、どこでも、どんなシーンでも飲みまくり、阿南さんにも勧めるほどです(^_^ゞ

鈴木を演じる山崎努さんの水飲むシーンがまたとても美味そうなんですよね(^_^)

これは、観客に対しての熱中症対策への啓蒙なんですかね。確かに高齢者が多いワケだしね(^_^;

この作品は基本的に群像劇ですので、複数見るとその度に印象が変わって良いと感じました。

一回目はどうしても、昭和天皇・阿南・鈴木あたりの主役級に目が行ってしまうんですが、その他の配役が良い味を出していて、それを味わうには複数回みないとねという感じです。井田中佐ら、青年将校もなかなか良い雰囲気なんですよねぇ...。

良い映画って、空気感を醸し出していて、その中に長く浸っていたいなぁと思わされるんですが、本作にもそういった雰囲気が漂っています。

時代的にはトンデモナイ状態なんですけどね(^_^;

戦争映画って、いろいろ考えさせられますわ。

でもね、思ったのはドンパチやるだけが戦争映画じゃないんですよね。むしろ邦画はこういった人間ドラマにこそ名作が生じやすいと思いますし。

Blu-ray出るのが楽しみです。

東宝版のもデジタルリマスターで出してほしいんですけどね~(^_^)