~ 盃台に三枚組の盃を乗せたところ ~
毎年お正月に持ち出される松と鶴の盃
金と銀の高蒔絵が施され、一部に貝が嵌め込まれている。
全体の朱塗りは柔らかい厚みを感じさせ、
蒔絵の金銀の色は、さすがに落ち着いて
鈍い輝きを放っている。
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~ 二枚目 ~
三枚ともに見た目は重量感があるのに
持ってみると羽のように軽い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/14/f92a805a9ad74e8ef39572f2a13a7970.jpg)
~ 三枚目 ~
いつ頃のものか分からないが、こんなに薄い仕上がりで、
よく今までに割れなかったものと感心する。
木の乾燥具合や、塗りの良さを物語っているようである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/92/bfbdfa91c713e7d5b70009b6653c99b2.jpg)
~ 盃台上部 ~
金と銀がこんもりと蒔かれている。
絵柄や柄つけに古い時代が感じられて魅力的。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/25/31dabacf4443a447357a921a494780bf.jpg)
~ 盃台脚部 ~
脚部に少し亀裂が入っていたので、塗りをはがして
自分で塗り替えてみようと、やすりで削り出して「しまった!」と
思ったことがあった。
盃台の脚部には、しっかりと下地がなされていたからだ。
それは、ただ漆を塗り重ねただけでなく、下地に布が貼られていて、
その上に漆が塗り込まれていたのだった。
この手間があってこそ、この柔らかな塗り面が出来たのだろう。
現在で、この技法で塗りを施した物はとても高価で
もはや私の手には届かないに違いない。
こうして、盃台の上部と私が塗り替えた脚部を比べると
色合いも質感も、軽く安っぽくなったのが良く分かる。
たとえ、亀裂が入っていても、自分で塗り替えるなど
とんでもない話だったのである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/c1/1d36be5ae286ba073bccecd65816e753.jpg)
~ 桐箱 ~
この三枚の盃と盃台が入っていた桐箱。
この箱にきちんと収められていたから、これだけきれいに
今まで生き残ってこれたのだろう。
これからは、そっと大事に使ってこのまま次世代に
伝えていこうと思うのである。