私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

*古い金銀蒔絵の盃台と盃* 古い塗り物の味わいを大事に

2017年02月10日 | 時空を超えて来たものたち

~ 盃台に三枚組の盃を乗せたところ ~

毎年お正月に持ち出される松と鶴の盃
金と銀の高蒔絵が施され、一部に貝が嵌め込まれている。

全体の朱塗りは柔らかい厚みを感じさせ、
蒔絵の金銀の色は、さすがに落ち着いて
鈍い輝きを放っている。




~ 二枚目 ~

三枚ともに見た目は重量感があるのに
持ってみると羽のように軽い。




~ 三枚目 ~

いつ頃のものか分からないが、こんなに薄い仕上がりで、
よく今までに割れなかったものと感心する。
木の乾燥具合や、塗りの良さを物語っているようである。




~ 盃台上部 ~

金と銀がこんもりと蒔かれている。
絵柄や柄つけに古い時代が感じられて魅力的。





~ 盃台脚部 ~

脚部に少し亀裂が入っていたので、塗りをはがして
自分で塗り替えてみようと、やすりで削り出して「しまった!」と
思ったことがあった。
盃台の脚部には、しっかりと下地がなされていたからだ。

それは、ただ漆を塗り重ねただけでなく、下地に布が貼られていて、
その上に漆が塗り込まれていたのだった。
この手間があってこそ、この柔らかな塗り面が出来たのだろう。

現在で、この技法で塗りを施した物はとても高価で
もはや私の手には届かないに違いない。

こうして、盃台の上部と私が塗り替えた脚部を比べると
色合いも質感も、軽く安っぽくなったのが良く分かる。
たとえ、亀裂が入っていても、自分で塗り替えるなど
とんでもない話だったのである。




~ 桐箱 ~

この三枚の盃と盃台が入っていた桐箱。
この箱にきちんと収められていたから、これだけきれいに
今まで生き残ってこれたのだろう。
これからは、そっと大事に使ってこのまま次世代に
伝えていこうと思うのである。


コメント (8)
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