藤沢周平の「海坂藩」シリーズも
すっかり行事化しましたなあ。
「小川の辺(ほとり)」53点★★☆
海坂藩士・戌井朔之助(東山紀之)は
脱藩した佐久間(片岡愛之助)を討てと藩命を受ける。
朔之助は
佐久間と共にいる妻・田鶴(菊池凛子)のことが
気にかかっていた。
田鶴は朔之助の妹で
気が強く、剣の腕も立った。
妹と斬り合うことになるやもしれぬ――。
晴れぬ思いのまま
朔之助は二人を追って旅に出るが……。
上司の命令には逆らえぬ
サラリーマン武士の悲哀や
それでも高潔と矜恃を失わない
人の生き様を描き、
現代人にもめちゃくちゃ共感できるドラマで
人気の高い時代劇シリーズ。
兄妹の宿命を描いた本作は
これまた胸かきむしられる題材ですが
今回は映画1本にするにはネタが少なく、
無理矢理引き延ばした感がぬぐえませんでした。
核となるのが兄妹の悲劇の予感だけで、
あとはほぼ山形から江戸へ
妹夫婦を追い歩くロードムービー。
美しい景色はいいんですが
構成が単純すぎるし、
兄妹の軋轢や心理描写にも深みがない。
シリーズも定番化し、
だんだん味が薄まってるような気が。
ぜひ
パンチの効いた変化球を望みますねえ。
ちなみに年表にしてみますと
「たそがれ清兵衛」(02年)山田洋次監督
「隠し剣 鬼の爪」 (04年) 〃
「蝉時雨」 (05年)黒土三男監督
「武士の一分」 (06年)山田洋次監督
「山桜」 (08年)篠原哲雄監督
「花のあと」 (10年)中西健二監督
「必死剣鳥刺し」 (10年)平山秀幸監督
「小川の辺」 (11年)篠原哲雄監督
となっております。
さあどれがお好みでしょう?
番長はやっぱり「隠し剣」が好き。
意外と「必死剣~」もよかったな。
あれ、けっこう“技”系が好きなのか自分?
★7/2から全国で公開。
「小川の辺」公式サイト