カナダ在住のアニメーション作家
フレデリック・バックの
1987年のアカデミー賞短編アニメーション賞受賞作です。
「木を植えた男」77点★★★★
原作はフランスの小説家ジャン・ジオノの物語。
荒野をさまよっていた男が
一人の老羊飼いに助けられる。
羊飼いは荒野に何年もの間、
木を植え続けていた。
不毛に思えたその挑戦は
徐々に実を結び始め、
荒れ果てた地にやがて森が生まれていく――。
チェルノブイリ事故の翌年に発表された
30分の短編アニメーション作品。
確かに昔、見た記憶があったんですが、
いま見ると
より乾いた土に、水が染みこむような
“いま、見るべき”必然を強く感じました。
不毛の高野に木を植え続けた男の
無利無欲の高潔さを
繊細な線と優しい陰影で描き
揺らめくような動きをするアニメーションは
たしかなデッサン力と
なにより作り手の
主人公と同じ高潔さに
裏打ちされているんだなあとしみじみ。
彼を“師”と呼ぶ高畑勲氏が
フランス語を訳し
字幕をつけているのも見どころです。
本作を含むフレデリック・バックのアニメーション全9作品が
10/2まで神保町シアターで公開されています。
自然と動物の楽園を
欲深き人間が破壊する様子に
胸が苦しくなる「大いなる河の流れ」(93年)も
素晴らしいです。
★7/2から神保町シアターで公開。
「木を植えた男」公式サイト
7/2~10/2まで
東京都現代美術館(東京都江東区)で
「フレデリック・バック展」も開催中です。
7/2にちょうど美術館前を通りましたが、
ボツボツ人だかり、という感じでした。
ワシも行ってきます