ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ

2011-07-14 23:15:45 | あ行

これは傑作であり、
まさに“ケッサク”です。

「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」81点★★★★


そもそもの主人公は
イギリス出身で
いわゆる街の落書き=グラフィティを制作する
アーティスト、バンクシー。


過激な手法ながら
その卓越したアート性が認められ
いまや大英博物館にコレクションされちゃった、という人。


作品にも数千万(!)の値がつき
ブラピやキアヌ・リーブス、ジュード・ロウなど
“ハイセンスな”セレブも大ファンなんだそうです。


そんな
名前以外、素顔も素性も一切不明なバンクシーを
運良く撮影できることになったのが
元古着屋のオーナー・グエッタという男。


しかし彼は
バンクシーのある一言で
ある日、なんと自分も「グラフティ・アーティスト」に
なっちまうんですよ。


それに驚いたバンクシーが逆に
グエッタの一部始終を撮影し
ドキュメンタリーにしちゃった、という映画なんです。

複雑なようですが、見ればシンプル。

おのずと立ち現れる
「本物」と「偽物」の違いが
実におもしろい。



バスキアのドキュメンタリーを見ても思ったんですが、
一見落書きのような行為に見えても
「ホンモノ」は本当にクレバーだってことです。


さらに本作は
ドキュメンタリーとして
限りなく公平のようでいて
実はギリギリのところで“フィクション”っぽくもある。


すべては
自らの目で真贋を見極めることの難しさを示しており、

そして
流行や世間の評価に
あっけなくミスリードされがちな大衆を
フッと笑うかのようでもあります。


自分だって同じ穴のムジナの可能性大ですが、
アートだけじゃなく
世の中全てに対しての
姿勢として見るべきですね。


それに
各国でゲリラアートを繰り返すバンクシーが
最も難儀するのが
かの有名な“ネズミの夢の国”ってのが爆笑でした(笑)


★7/16から渋谷シネマライズ、テアトル梅田ほか全国順次公開。

「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」公式サイト
コメント
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