ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

共喰い

2013-09-02 21:14:52 | た行

芥川賞作家・田中愼弥氏原作×青山真治監督。


「共喰い」65点★★★☆


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昭和63年(1988年)、山口県下関市。

17歳の遠馬(菅田将暉)は
女をなぐる性癖のある父(光石研)を嫌悪しつつも、

父と同じように性欲に溺れ
幼なじみの千種(木下美咲)と逢瀬を繰り返している。

そんな遠馬を
近くで魚屋を営む産みの母(田中裕子)は静かに見守っているが――?

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青山監督「サッド ヴァケイション」(07年)すごく好きだし、
原作未読にして楽しみにしてました。

でも・・・・期待ほどではなかった。すんません。


感情をひっかくような音楽、寂れた田舎町、
食事をむさぼり食う様子、
汚物はすべて川に垂れ流される・・・・・・


人間が生きることで、間違いなく生まれる
“汚れ”や、生々しさなどのアプローチは面白いけど

結局は「嫌いな父と同じ血をひく」17歳の性欲と
父親コンプレックスに終始しており

しかし描写はさほどどぎつくはなく、
ゆえにちょっと宙ぶらりんな感じ。

男はみじめで、女が包み込むという
勢力構図は青山監督らしいんですが、

原作ありきで、
逆に動きが制限されている気もしないでもなかった。


ひたすらに繰り返し描写される主人公の“いらだち”は
父への、町への、女への・・・・・・なにより自分への嫌悪感の表れなんでしょう。

誰もが通る道として、
はたまた背景も原作者とほぼ同世代として、共感できそうなんだけど、
うーん、ちょっ入り込めなかった。

なにより、
うーん、光石研氏がどうもしっくりこなかったんだよなー。


でもこのラスト、原作とは違うんだそう。
やっぱり、原作読んでみるかな。

★9/7(土)から新宿ピカデリーほか全国で公開。

「共喰い」公式サイト
コメント (2)
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