ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

凶悪

2013-09-16 23:01:30 | か行

リリー・フランキー氏の悪人顔がイカしてるんで、
このチラシを採用(笑)


「凶悪」70点★★★★


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スクープ雑誌の記者・藤井(山田孝之)のもとに
ある手紙が届く。

それは数々の悪事で収監中の
死刑囚・須藤(ピエール瀧)からだった。

「事件の首謀者は
自分が“先生”と呼んでいた男です――」

のうのう生き延びている“先生”を追い詰めたい、という須藤の告白を受け、
藤井は事件を調査し始めるが――?!

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『新潮45』記者に宛てに届いた死刑囚の手紙から
記者が事件を暴き、
テレビ&新聞各紙で報道され、県警をも動かしたという
実話を基にした作品です。

ネタのおもしろさに加え、

事件を追う記者役に山田孝之
死刑囚にピエール瀧
そして、そのウラにいる極悪の“先生”役を
リリー・フランキーが演じるという

実に興味をそそる配役。

監督は若松孝二氏に師事した
1974年生まれの白石和彌氏です。

で、結果はどうだったかというと
けっこうずっしりきました。

暴力の描写は想像範囲で、ヘンにドギついところはなく、
それでもけっこう激しく、ほどよく。

事件を追う側の記者の
私生活の描き方がなかなかうまくて
公共では“善”で“正義”である人間の、別の側面をよく表現していた。

しかし
構成には工夫がなく、もう一歩。

もっと「記者が事件を暴いていく過程」のハラハラを味わいたかったんですが

証言に基づく取材の途中で、
スパッと過去の犯罪現場のシーンになったりするのは
演出的に都合よすぎるし、単純すぎる。

とはいえ、
最近、まったくもって悪役でしか見なかった山田孝之氏を
正義の側に配置したのは慧眼。

どの悪人よりも鬼気迫ってて、どっちに振れるかわからない
迫力があってよかった。

刑務所の面会シーンで、悪人と対峙したときの、
真っ正面からの表情作り、この芝居で選ばれたのだろうな。

対してリリー・フランキー氏の
物腰柔らかそうで実は極悪人、という設定は
ちょっと意外性がなかったかな。

ちなみにこのプレス資料は、
アイデアで賞(笑)




★9/21(土)から全国で公開。

「凶悪」公式サイト
コメント (2)
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