全ての“仕事人”に贈りたい。
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「世界一美しい本を作る男 -シュタイデルとの旅-」 73点★★★★
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世界的な写真家ロバート・フランク、
シャネルのカール・ラガーフェルドなど
世界中の一流写真家や一流アーティスト支持され
「新規オーダーの予約は数年先まで満杯」(!)という
ドイツの小さな印刷会社を率いる
ゲルハルト・シュタイデル氏のドキュメンタリーです。
監督は「エル・ブリの秘密」(11年)のドイツ出身
ゲレオン・ヴェチェル氏で
なるほど
徹底した客観視線で、仕事現場の内部に入り込む技には
共通するものがあります。
シュタイデル社の特徴は
ずばり“本の全てに関わり、唯一無二の本を作る”こと。
自社でデザイン&編集し、
紙やインク選びから、印刷、製本、果ては営業まで
全てを手がけるんです。
そのすべてをやるシュタイデル氏は
マジで鬼スゴイ人。
印刷の全てを熟知する職人でありつつ、すぐれた美術眼の持ち主であり、
かつ優秀なディレクターであり
編集者として優柔不断な写真家に辛抱強く接し、
コンセプト自体を左右する重要なアイデアを出したりもする。
「美」に対する決断力と瞬時の判断力、
経験に裏打ちされた的確なアドバイスは最強で
見ていると
超一流といわれる人々が、みんな彼を頼るはずだ・・・と納得します。
反面、
世界的なアーティストも、どこか優柔不断なところを持ち合わせており
信頼できる“誰か”の「断定」「断言」を求めてるんだなあ・・・と、
感じいりました。
60歳を越えても、世界中を飛び回り、
持てる力全てを仕事に注ぐ、
シュタイデル氏の姿は
まさに“仕事人”の鏡のよう。
どんな業種の人が見ても、
その精神性にきっと勇気づけられると思います。
必見!
★9/21(土)からシアター イメージフォーラムほか全国順次公開。
「世界一美しい本を作る男 -シュタイデルとの旅-」公式サイト
今週発売中の『週刊朝日』9/27号(壇密さんの表紙です。笑)
おなじみ「ツウの一見」で
ブックディレクターの幅允孝さんに
本作について、お話を伺っています。
シュタイデル氏の仕事の「本当にスゴイところ」、さらに
「紙の本の意味」についての
深いお話になっていると思います。
ぜひ、合わせてご一読を