深刻なテーマを、丁寧に、優しく寄り添って
撮っていると思う。
「ゆるせない、逢いたい」63点★★★☆
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高校生のはつ実(吉倉あおい)は
母(朝加真友美)と引っ越してきた街で
古紙回収をしている
年上の隆太郎(柳楽優弥)に出会う。
お互いの孤独を感じ取り、
惹かれ合っていく二人は
ささやかなデートを繰り返すが、
あるとき、事件が起こり――?!
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好きどおしだったり、友人どおしや近しい間柄で
起こってしまう
“デートレイプ”。
「キミタチ、付き合ってたんじゃないの?」と
警察に言われるのが目に見えているような
この微妙な問題を題材にした作品です。
ただ「事件!」という扱いではなく
あくまでも「被害者の心を」描こうと
寄り添い、配慮してあると感じます。
思春期のユラユラした心と身体の不安定さも
よく表現されている。
が、被害者に寄り添うがゆえに
いま一歩踏み込みが足りない気もする。
彼女が感じたのがどれほどの恐怖だったのか
哀しみなのか
彼をどう思っているのか――などを
観客が共有できる手がかりが少ない。
母親と娘の関係に視点がシフトしていくし。
ただ
デート・レイプという問題は本当に難しいと思う。
ついこの間まで、ストーカーだってDVだって
警察には「痴話ゲンカ」にしか思われてなかったわけだし
この問題を知らしめるための提起としても
意味あるかと思います。
例えば
漫画『ホット・ロード』で
ハルヤマが和希を無理矢理押し倒してたら、
あの伝説の物語は生まれなかったわけで。
男性は、よく考えていただきたいですね。
・・・って、そういうオチ?(笑)
★11/16(土)からヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほかで公開。
「ゆるせない、逢いたい」公式サイト