謝るのはオレじゃない。
謝るのは“そっちだ”と、彼は言っているのです。
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「アイ・ウェイウェイは謝らない」77点★★★★
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北京オリンピックの
「鳥の巣」スタジアムの設計にも関わった
中国の世界的な美術家であり活動家である
アイ・ウェイウェイ。
彼の創作の現場、その原点、
そして中国政府との闘いの日々を描くドキュメンタリー。
2009年に森美術館で個展が開催され、
約46万人(!)が訪れたそうで、知ってる方は知っているかも。
恥ずかしながら、ワシは存じ上げなかったんですが
(ホントにワシ美大卒なのか・・・不肖にもほどがある・・・)
いやはや、すごい方がいるもんだ、と感動しました。
アート作品も非常に興味深いんですが、
やはり
「中国って国はメチャクチャだ!」と“中の人”が発言し、
それを発信していることの意味と
インパクトはものすごくでかい。
なんだ、そう思ってる人、ちゃんといるんじゃん!と(苦笑)
それ自体が、当局にとっちゃまずいことなわけで
まあ彼はものすごい監視と、危険にさらされているわけです。
見た目は三國志の登場人物のような髭の巨漢で
猫40匹と広大なアトリエに住み、
作品制作はスタッフ任せ。
もちろん自身でなんでも作れちゃうのだが
彼にはまったく時間がない。
国内外のインタビューに年200本応え
ドイツやロンドンで個展をし
合間に政府が無視する
四川大地震の犠牲者たちの名前を調査し、
作品として発表する。
その行為でますます監視されながら、
ツイッターやYouTubeで
「おかしな中国」を世界に知らしめる活動をする。
英語に堪能なことと、SNSやメディアへの柔軟な姿勢、
そしてなによりユーモアと、チャーミングさが彼の武器でしょう。
監督は若きアメリカ人女性、アリソン・クレイマン。
不屈の闘争精神を生んだ生い立ちも、青年時代も、
現在も含め
よくまあこんなに盛りだくさんな話を
91分にまとめたと思う。
終盤の展開は
そこらのドラマよりハラハラしまっせ。
おなじみ『週刊朝日』(11/22号)の「ツウの一見」で
アイ・ウェイウェイ研究第一人者の
牧陽一さん(埼玉大学教授)にお話を伺いましたが
素顔の彼は映画のとおりで、
さらにナイーブですらある人物で
牧さんが日本から連れて行く学生たちにも、とっても優しいのだとか。
ますます興味沸きますねえ。
そして、牧さんがおっしゃっていた大事なこと。
「これを見て『中国っておかしい』だけで終わらせないでほしい。
日本政府だって、同じようなことしてるんだから」
・・・・・・ホントにそうですよ!
いまもYouTubeなどで
活動を発信し続けているアイ・ウェイウェイ。
ぜひチェックしてみてください。
11/30(土)からシアターイメージフォーラムほか全国順次公開。
「アイ・ウェイウェイは謝らない」公式サイト