水面の揺らぎを重ねたような
ファーストショットからもう、美しい!
「鏡は嘘をつかない」70点★★★★
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世界遺産に登録されている
インドネシアのワカトビ。
そこに暮らす10歳の少女パキス(ギタ・ノヴァリスタ)は
漁に出たきり戻らない父を待ち続けている。
母(アティクァ・ハシホラン)は
諦めるように諭すが、パキスは聞かない。
そんなある日、島に都会から
イルカの研究をする青年(レザ・ラハディアン)がやってくる――。
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ジャカルタ生まれの30歳の女性監督
カミラ・アンディニ氏の長編デビュー作。
なるほど
少女にも母親にもある“女”を
ささやかだけど、鋭く表しています。
それにやはり
珊瑚礁の海と青い空の、美しさが圧倒的。
海の上の小屋で暮らすバジョ族の生活は
貧しく質素だし
海で命を落とす危険も厳しさもあるけれど
見ながらつくづく、
「ここにはお金などに変えられない豊かさがある!」と思った。
いいなあ~。
さまざまな場面で
歌が映画のメッセージや、
登場人物の心情を代弁するのもおもしろい。
子どもたちが歌う
「魚を獲り過ぎてはならない。未来に残そう」
「自然を破壊してはいけない。将来、自分が困るから」が心に残ります。
それに
主人公パキスは、取り扱い難しく
女子っぽいところもあって
イマイチ感情移入できないキャラなんだけど(苦笑)
そんな彼女のそばに常にいてやる
幼なじみの少年ルモの存在がすごくいい。
パキスは都会から来た青年に恋心を抱くんですが
そのときのルモの複雑な心境を
彼の友人が代弁して歌うシーンには吹いた(笑)。
自然も人も、描き方も
素朴だからこそ、シンプルに美しい。
そういうことですな。
★6/4(土)から岩波ホールほか全国順次公開。
「鏡は嘘をつかない」公式サイト