実はこの人のこと、ちょっと疑ってたんだよね・・・。
すいませんでした!
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「シチズンフォー スノーデンの暴露」73点★★★★
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第87回アカデミー賞、長編ドキュメンタリー賞受賞。
世界中で大ニュースになった
「スノーデン事件」の一部始終を追った作品です。
「スノーデン事件」とは
2013年に元CIA職員で、NSA(国家安全保障局)でも働いていた
エドワード・スノーデン氏(当時29歳)が
内部資料を持ち出して、ジャーナリストに接触。
その資料から
米国政府が一般市民のメールや電話の会話など
膨大なデータを収集し「監視していた」事実が明らかになり
世界中が大騒ぎになった――!という事件です。
スノーデン氏は
内部資料を持ち出した段階で
本作のローラ監督にメールで接触。
映画はそこから始まります。
相手からの接触でスクープが始まるというのは、
取材する側の人間として
「ラッキーなケースだなあ」と思えるんだけど
同時に
「よくガセだと思わなかったなあ」とも感じる。
というのも映画では
監督や、一緒にスクープをしたガーディアン紙のジャーナリストが
スノーデン氏を最初に「信じる」とした根拠が
わかりずらいんですね。
もちろん
彼が持ち出した資料が「本物だ」ということを、
監督もジャーナリストも理解できたからなんでしょうが
普通の人には、ちょっと難しいと思う。
でもローラ監督は、
そのへんの専門的なことを、極力「やさしく解説」しながら
映画を組み立てていると思います。
なにより
世界を揺るがせたニュースの
一部始終の目撃者となれるおもしろさは満点。
スノーデン氏だけでなく、
同じくNSAの監視の実態を告発し続けているウィリアム・ビニー氏など
周辺の取材もがっちり固め、
「監視社会」の恐ろしい現実を
知らせてくれています。
ただね、それでもですね、
そこそこ見栄えのいいスノーデン氏を見ていると
なーんか、どこか疑いも湧いてきてしまうのが
なんともいえない(笑)
まさに森達也監督の
「FAKE」みたいだなあとも感じたんですが(苦笑)。
しかし
明日発売の『週刊朝日』6/17号で
この映画を切り口に
「監視社会」についての取材記事を書かせていただきまして
慶応義塾大学大学院の土屋大洋教授、
『大量監視社会』の著者、山本節子さん、
ジャーナリストの外岡秀俊さん――などのお話を伺い、
改めて
「スノーデン氏の警告の意味は何なのか?」
「監視社会の何が問題なのか?」が
よーくわかりました。
ぜひ映画と合わせて読んでいただけると
うれしいです!
★6/11(土)からシアター・イメージフォームほか全国順次公開。
「シチズンフォー スノーデンの暴露」公式サイト