まさにクリーピー(=気味の悪い)なミステリー。

でも、そのイヤさ加減に引き込まれます。

「クリーピー 偽りの隣人」71点★★★★




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元刑事の高倉(西島秀俊)は

1年前、ある事件をきっかけに退職し、
いまは
大学で犯罪心理学の教授を務めている。


最近、妻・康子(竹内結子)


新居に引っ越し


新たな人生をスタートしていた。

だが、高倉はあるきっかけから
6年前の未解決事件に興味を持つ。

そのころ、康子は引っ越しの挨拶まわりで


ちょっと変わった隣人(香川照之)に出会っていた――。



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黒沢清監督作品。
「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です」――

引っ越し先の隣人の娘に
そんなこと言われたら、どうでしょう。

めちゃくちゃ魅力的な
キャッチコピーじゃありませんか。

この映画のおもしろさは
まずそんな
「隣人付き合い」「トラブル」という日常性。


どう転がるか読めない展開。

(いや、実際「そんなずさんなこと、あるか?」な部分もあるんですが、
勢い飲み込まれちゃうし、引き込まれちゃうんです(笑)

なにより
西島秀俊氏演じる元刑事の犯罪心理学者が


一見、カッコいいようでいて


凡庸――いやハッキリ言って
「アンタ、下手を打ってばかりなんすけど!

おもしろいんですよ。
そんな主人公を
西島氏が、自身の個性を役の下に上手に塗り込めて
演じていると感じました。


妻役の竹内結子氏も、一瞬、
「ん?この人、誰だっけ?女子アナだっけ?」くらいに
自身の“光”を抑えていて、うまい。


隣人となる香川照之氏の気持ち悪さも、

過激でなく、日常に埋没する絶妙なラインだったなあ。

それに、いつも思うけど
「家」そのものを“薄気味悪く”効果的に描くのは
さすが
「スウィートホーム」(88年)の監督だなあと。


いまでも一番怖い映画なんですよねえ。

★6/18(土)から全国で公開。
「クリーピー 偽りの隣人」公式サイト