演劇やまと塾公式ブログ

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観劇週間

2013年11月28日 23時59分59秒 | Weblog

こんばんは、あっきーです。

Jack in the boxのメンバーで、市民劇場TAMA「さらっていってよピーターパン」に誘ってくれた I さんが出演するミュージカル「無頼漢ーならず者ー」。主催は豊島区、流山児事務所の合同プロジェクト。キャストは事務所所属、あるいは外部からのプロ、そして一般公募で選ばれた人たち47名。原作者寺山修司・演出家流山児祥両氏とも存じませんでしたが、舞台音楽が三味線プレーヤー上妻宏光さんということもあり行くことにしました。、豊島公会堂の向かい側の公園で待っていると歌舞いた一座が旗持ってぞろぞろやってくる。お面屋が現れ子供が寄る。手入れが入り、散り散りに、あるいはまとまって逃げる、逃がす…追いかける役人たち。めしいたグループがやってきて花を添える。そしてキャストも観客も公会堂へ。なんと前から3番目、飛んでる唾も見える。江戸の庶民の歌舞伎。彼らが対抗するのは厳しい改革を行う老中水野忠邦。悪い外様大名や悪徳商人も花魁も入り混じり物語は進む。

全体を通して集団での動きが面白い。転換も工夫されて、観客を待たせない、飽きさせない。50名近くいるのに二役担っているキャストさんもいる。二つの事柄が同時に舞台で行われ、時間を感じさせる表現も面白い。音楽の方はそれで効果を狙うというより、芝居と融合してきわめて自然である。場面を作るのは人。人の動きを生かした、人のパワーを感じた舞台でした。

そしてもう一つ、以前から注目していた芝居。初めて足を運ぶ東急シアターオーブ。ホールに入るとステージは背の高い茂みが横に並ぶ。これから起きること、茂みが向こう側を遮断している。

開演。茂みが左右に開かれ戦いのさなか。木曽義仲の最期、そして登場した「鉈切丸」こと源範頼。頼朝の弟、義経の兄。顔の半面がゆがんだ皮膚、背中にこぶ、片足を引きずる…そんな風貌の彼は知略と巧みな弁舌で生き延びてきた、という設定。シェイクスピアの『リチャード三世』の舞台を源平の時代に置き換えた作品とのこと。

天下をその手にと、義経を陥れ、非道なやり方で頼朝周辺をかき回す。果ては頼朝も毒殺し、強引に妻にした義仲の元妻巴も殺し、裏切り、残忍さの極み。劇中度々登場する入水に失敗し尼僧になったとされる建礼門院の生霊が言う「すべて分かっている。わからないのは鉈切丸が人間なのかどうか…」範頼は追い詰められ、終わる。そして政子の言葉「歴史は塗り替える。頼朝は生きている。範頼の風貌は醜くはなく、謀反を起こし殺された」と。それを聞いた時、一瞬自分の中に悲しさが漂った。

何度も茂みが開き、幾つもの悲痛な光景を見た。もう茂みは動かないと分かった時、全身から汗が噴き出した。急に体の機能が回復したように。立ち上がったが動けない。「歩き方忘れた・・・」妹は「吸い取られたみたい・・・」ホールから出て進んで行くと人だかり。レアなグッズでも販売しているのかと思いきや、太陽が沈んだばかりの朱色を極めた夕焼けに集団は携帯を向けている。まるで初めて見るかのように。それとも夕焼けは生きている象徴だったか?

凄まじい舞台である。舞台だからこそ表現できたのかもしれないが。

舞台音楽CDをかけてみる。最初の一つの低音を聴くだけで心臓が反応し、体内がせわしなくなる。V6森田剛君の演じた「鉈切丸」の声が甦る・・・母を恋しがる様にも感じる。