こんな面白い、読み応えのある本は久しぶりだ。
民主主義は、完成されたかたちでそこにあったり、与えられるものではなく、不断の努力で闘いとり、そして次世代に引き継ぐものだと納得させられる。
それは、若者たちが、右も左もわからぬままに始め、ものすごく勉強し、深く考え、おおいに議論し、自ら手足を動かして造り出したものだからに相違ない。
そして、彼らは、彼らの回りに居た若者に民主主義とは何かを学ぶ「場」を与えたのだ。
「場」はそれらの若者を鍛え、そして次の若者に引き継がれ大きな輪となり、彼らを取り巻く学者たちを、大人やママさんたちや政治家さえ動かした。
乏しい小遣い銭をはたき、デモのやり方などをネットで学び、試行錯誤しながら造り上げた新しい民主主義のかたちが、15年安保をつくり出したのだ。
それはまだ小さい双葉に過ぎないが、日本の将来を託すにふさわしい大木に成長する確信を抱かせる。ご一読をお薦めします。(お勧め度:★★★)
ご参考までに、昨日の新聞(朝日)の文化・文芸欄に掲載された寂聴さんのエッセイを転載してお目にかけます。